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第133回 入之波温泉(奈良県) 湯の花がつくる芸術! ダム湖畔の濃厚湯

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■「温泉分析書」の3つのポイント

 温泉に行ったら、必ずやることがある。それは、温泉分析書を読むこと。温泉分析書とは、温泉の成分や適応症(効能)などを記した、いわば温泉の説明書。温泉法によって掲示が義務づけられており、温泉施設に行けば必ず見ることができる。

 脱衣所の入口や脱衣所内に掲示されているケースが多いので、存在に気づいている人はいるかもしれない。でも、じっくりと読み込む人は、それほど多くないと思う。細かい文字がぎっしりと書いてあって読む気にならないという気持ちはわかるが、温泉分析書の読み方のポイントを知っておくだけでも、温泉めぐりがグッと楽しくなる。

 1つめのポイントは、「泉質」。泉質は「炭酸水素塩泉」「塩化物泉」などのように10種類に分けられるが、それぞれの泉質のおおまかな特徴を知っていると、温泉を選ぶ際の参考になる。

 たとえば、「炭酸水素塩泉」であれば、せっけんのように皮膚を洗浄する効果があって、肌がツルツルになる。「塩化物泉」であれば、皮膚に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、湯冷めしにくい。自分が入る温泉の泉質を確認することを習慣にすれば、「この泉質はこんな特徴をもっている」というのが肌でわかるようになるだろう。

 2つめのポイントは、pH値。特に肌に気を遣っている人は必見である。おおまかに言えば、値が7.5よりも高ければ「アルカリ性」で、6.0よりも低ければ「酸性」、その中間は「中性」である。アルカリ性の湯は、肌がすべすべになる「美人の湯」が多いとされる。

 3つめのポイントは、「溶存物質」。これは、温泉水1kg中にどれだけの成分が含まれているかを表す数値で、この値が高いほど「濃い温泉」ということになる。目安は1000mg(1g)を超えているかどうか。1000mg未満の湯は、泉質的には「単純温泉」に分類され、成分が薄めでやわらかい湯が多い。逆に、この値が高くなるほど濃厚な湯となる。

■吉野川の源流域に湧く秘湯

奈良県の山中にある秘湯・入之波(しおのは)温泉の宿「山鳩湯」の温泉分析書を見たとき、筆者は思わずニヤリとしてしまった。

 山鳩湯は、吉野川の源流近くの大迫ダム湖畔に位置する。アクセスが不便な山中にあるため、秘湯然とした雰囲気が漂っている。この温泉を目当てに訪ねる人は、よほどの温泉好きといえよう。

 さて、筆者が温泉分析書を見てニヤリとしたのは、溶存物質が4000mg(4g)を超えていたからだ。標準的な温泉の3~4倍くらいの値なので、成分はかなり濃く、個性的な特徴をもつケースが多い。

■原形をとどめていない湯船

 温泉分析書が示すとおり、山鳩湯の源泉は超個性派である。湯口から滝のようにドカドカとかけ流しにされている源泉は、黄土色の濁り湯。

 温泉に豊富に含まれる成分が空気に触れて析出し、オレンジ色の湯の花が湯船や床にこんもりと積もっている光景は圧巻だ。もともとは木の湯船のはずなのに、石のように硬い湯の花が付着しているため、もはやその原形をとどめていない。

 その析出物は、たとえるなら鍾乳洞やハチの巣のような模様をつくり出している。自然由来の造形美は、見れば見るほど不思議で、感動的だ。

 露天風呂からあふれた湯は、そのまま目の前のダム湖へと流れていくのだが、その通り道にも、湯の花が山のようにこんもり積もっている。

 山鳩湯の泉質は、「ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物泉」である。一般に炭酸水素塩泉には、やわらかくて清涼感のある湯が多い。しかも泉温は39℃とぬるめ。このデータだけ見れば、長湯もできそうなやさしい湯というイメージだが、実際の入浴感はかなりのハード系。やはり成分が濃いからだろう。

 15分も浸かっていると、どっと疲れる感覚がある。温泉が効いている証拠だ。さまざまな要因が絡まり合って、その温泉の個性が決まる。これも温泉の面白さである。

 

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