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第35回 お金のメッセージ性

欧米資産家に学ぶ二世教育

 

お金にはパワーがある。だから時に強烈なメッセージを子どもに伝えてしまうのだが、伝えた当人にはとんとその自覚がないことが多い。例えば子どもが渡された小遣いを無計画に遣ってしまい、「足りないからもう友達と一緒にサッカーの試合が見に行けない!出して!」と訴える。「ああ、可哀想」と小遣いを補てんしてしまったら果たしてそれはどんなメッセージを伝えることになるだろう。

「何か困ったことがあれば親を頼ればいいんだよ」「自己責任はとらなくていいんだよ」といっている様なものである。「一回位は大目にみてやってもいいだろう」が、二回、三回になり、成人した後も小遣いの補填をしてやる羽目になりがちだ。結婚して自分の所帯を構えてもすねかじり癖は抜けず、それを見て育つ孫もまたスネカジリ族となる。かくしてスネカジリ族が蔓延してしまう。

「うちでは早い時期から金銭教育をしています。」という人も現れてきた。中には熱心さのあまり「小遣いはこう使うのよ。無駄遣いはダメ!ああマンガなんか買ってダメじゃない。貯金しなさい!!」と熱心に指導するのは如何なものか?「あなたはダメ人間だから私に任せなさい!」というメッセージを送ってしまっているのではないだろうか。 任せると自己責任はセットなのである。子どもにともかく一度は任せ、小遣い内でやりくりを工夫させてみる。工夫をすることで知恵や生活力がついてくるのである。失敗したら一緒に嘆いて、しかし「自己責任」はしっかり取らせる。

 金銭教育などもってのほかだという人に限って「人は金でしか動かないからなアー」などつぶやく。これは「マネー・オンリー」のメッセージになる。「あいつよりオレの方が給料が上だからナ(俺の方が上だ)」という想いは「すべての評価はお金だ」と教えてしまっているようなもの。「あの絵は安いからな、大した絵ではないだろう・・・」も同様である。

 日本人の中にはお金に敵愾心を持っているのではないかと思う人が結構いる。「あんなにお金をたくさん持っているのはきっと何か悪いことをしたのよ」という発言はどんなメッセージを送るだろうか。お金は汚いいというイメージに繋がり、努力して良い収入のある職業に就こうという意欲をそぐことになってしまう。

 このようにお金は強力なメッセージを発しているのを是非とも自覚してほしい。

榊原節子

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