企業経営と個人資産に影響する環境変化として、今回は日本の人口減少について考えてみます。
40年前に30億人だった世界人口は、現在では67億人となり、今後も毎日20万人のペースで増え続け、2050年には
96億人になると予測されています。一方、日本の総人口は2005年から減り始め、2050年には9000万人台にまで
減少すると国立の研究機関が発表しています。出生率も2006年は1.32人までに低下し、公的年金制度の前提と
している1.39人を大きく下回りました。人口増加を前提に構築されてきた社会保障制度などの日本のシステムは、
生産年齢人口減少や高齢化に対応するために根幹からの見直しを迫られています。
GDPに目を転じてみると、世界に占める日本のGDPの割合が2006年には9.1%となり、24年ぶりに10%を割り込みました。
国民1人当たりのGDPでも経済協力開発機構加盟国30ヶ国中18位と1993年に1位だった日本の地位低下が鮮明です。
日本のGDPの約60%は個人消費が占めており、人口減少で消費市場が縮小すると、
経済成長率も低迷し、日本の競争力にも影を落としてきます。
サブプライムローン問題で足元ではドル安円高局面ですが、日本の国力が低下すれば、
長期的には経済の強さが為替にも影響するため、円安による輸入物価上昇も心配です。
食料の60%やエネルギーの大部分を輸入に依存している日本人の暮らしは大打撃を受けることになります。
このように、少子高齢化が日本の社会や経済、地域に与える影響は私たちの想像を超えて大きいのです。
経済が右肩上がりの「増える時代」には、売上高も資産も増える追い風が吹きました。
しかし、今後は日本の中小企業経営にとって逆風が吹く「増えない時代」で、何もしないことが逆にリスクとなります。
これからの時代は、個人も会社も資産設計や生活設計に国際分散投資の発想を取り入れる必要があります。
日本人は直面する環境変化にもっと敏感になり、危機意識をもって自己の資産と会社を守る工夫と努力を求められています。