いよいよ1月からNISA(少額投資非課税制度)が開始する。年末から株式や株式投信の購入受付も始まっている。2013年10月の口座開設受付開始時点の申込み数は、約358万件だったようだが、今後、若年層の新しい投資家が株式市場に参入することが期待されている。
NISAは本家・英国の個人貯蓄口座(ISA)をモデルに、日本の頭文字NをプラスしてNISAと呼ばれることは既にご承知の通り。その英国では1999年に制度が開始されて、その後改善を重ねた結果、現在では国民の約40%、2400万人以上が口座を持つといわれる。将来日本でこの普及率を達成できれば約5000万口座にも匹敵する。それだけ大きな潜在的な投資参加者がいると考えることもできる。
ところで、日本は2011年度から貿易赤字に転落して、12年度も赤字額を6兆8920億円に倍増し、13年の赤字は1~11月までで10兆1672億円にも上っている(財務省貿易統計速報)。資源に乏しいわが国は貿易立国政策を続ける必要があるが、もはや輸出代金で輸入代金を決済できない状況に。一方で円安進行により、企業の海外投資で稼ぐ所得収支の黒字額は今年度18兆円以上になると考えられる。まさに投資立国化・金融立国化が進んで、国家の収支を支えているのである。
さらに国民生活に関しては、インフレ目標が設定され異次元金融緩和が実施された結果、デフレ脱却が見えてきた。2013年10月の消費者物価上昇率は値動きが激しい生鮮食品を除き、前年同月比0.9%の上昇になり、98年以来15年ぶりの高水準だ。2年以内に年率2%のインフレが達成されるか未だに不透明だが、消費者に浸透したデフレマインドが変化していることは間違いないようだ。4月からは消費税率が8%にアップする。本格的なインフレが到来する前の今の段階で、インフレも視野に入れた資産運用を実践することが大切だ。
資産形成ニーズが高まる一方で、近年の金融市場はさまざまな理由から変動率が大きく、変動周期も短くて難しい環境にある。この講座で何度も紹介したように、個人の資産運用に関しては、投資時期を分散すればするほど、その分だけリスクの時間分散も出来て運用成績も安定してくるもの。少額投資非課税制度は年間100万円までを上限に5年間、最大500万円が非課税枠なので、投資時期は少なくても5回に分散できる。積立投資を活用すれば、月額83,000円づつ60回に分散投資できる。まさに時間分散と長期投資を実践する好機になる。資産運用には熟慮も必要だが、先ず第一歩を踏み出さないと何も始まらない。
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