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戦略・戦術

第239話 M&A後にお金を溜めるコツ

強い会社を築く ビジネス・クリニック

私たちICOコンサルティンググループでは、

最近、特にM&Aのご相談が増えています。

 

もともと、M&Aの相談はありましたが、

それは、デューデリジェンス(買収監査)という、

決算書をチェックして、企業の価値を算定するという仕事が多かったです。

 

しかし、最近は、仲介をしてほしい、と言われることも増えてきました。

仲介というのは、売手と買手を結びつける仕事で、

いわば、結婚の仲人のようなものです。

 

私たちの場合は、顧問先や、かつての指導先、

あるいは、M&Aの書籍を読んだ方や、後継社長塾の修了生などから、

「会社を売りたいので、アドバイスもらえませんか?」

と声を掛けられることが多いです。

 

さて、私たちが普段お付き合いしている顧問先は?というと、

買手にまわる会社が圧倒的に多いです。

そして、買手の立場として、M&Aのアドバイスを求められることも多いです。

 

そのときに、「何かお勧めのM&A節税策はありますか?」と言われます。

 

しかし、結論、ズバリお勧めの節税策はありません。

 

M&Aの税制というのは、一応、あるにはあるのですが、

使い勝手が悪く、お勧めできません。

 

税務対策という点では、それよりもまずは、

これからお伝えするような考え方を理解いただいたほうがよほど効果的です。

 

それは、役員退職金に関する考え方です。

 

M&Aの企業価値(売買金額)のの企業価値(売買金額)の決定には、

いろいろな考え方や計算方法がありますが、

決定された企業価値(売買金額)には、

役員退職金が含まれています。

 

これは、計算式でいうと、

 

企業価値(売買金額) = 株式評価額 + 役員退職金

 

です。

 

言い換えると、企業価値(売買金額)から、

役員退職金を差し引いた純額が、

(純粋な)株式の対価ということになるのです。

 

退職金が多ければ、株式価格は下がります。

退職金が少なければ、株式価格は高くなります。

いわば、退職金と株式価格はシーソーのような関係性なのです。

 

もう少し補足します。

 

多くのM&Aでは、

売手オーナーは、M&Aの契約日(つまり、株式譲渡日)に

代表取締役も退職するケースが多いです。

 

したがって、順番としては、

①契約日に、代表取締役を退任して、役員退職金を受け取る

②同じ日に、株式を売る(企業価値から▲役員退職金した金額が株価)

という流れになることが多いです。

 

なお、ときどき、M&Aをしても、

しばらく売手が代表取締役として留任するケースがあります。

この場合は、退職金が支払われるタイミングは、

ずっと後になります。

 

さて、話を変えます。

買手からみると、先ほどのシーソーのバランスを

どのように取るのがよいでしょうか?

 

私なら、役員退職金を

目一杯増やして、株式価格を抑えます。

 

なぜなら、役員退職金は、経費(損金)で落とせますが、

株式価格は、資産計上され、経費(損金)で落とせないからです。

 

そして、通常、役員退職金は、かなり高額になるため、

売った会社で大赤字が計上されます。

 

この赤字(税務用語で繰越欠損金 [くりこしけっそんきん] といいます)は、最大10年間繰り越せます。

つまり、この赤字が消えるまで、法人税を支払わなくて済むことになります。

 

最近のM&Aにおける売手は、

優良企業だけど後継者不足という会社が多いです。

 

つまりは、利益は毎期それなりに計上している会社が多いのです。

 

経営者の役員報酬もそれなりに払っているなかで利益を出しています。

 

M&Aで売手のオーナーが退任すれば、その役員報酬分は減ることになり、

そのぶん、さらに利益が増えます。

そうなると、よけいに役員退職金をたくさん出して、

赤字をつくっておくことが税務対策になるのです。

 

私は、買手の立場に立つなら、M&Aの交渉初期の段階で、

「役員退職金は、税務上認められる範囲で最大限支給するものとする」などと

明確に意思表示をしておくことが重要だと考えています。

 

「役員退職金を目一杯出すのはわかりましたが、

売手の会社には、そんなにお金がないのでは?」と質問をされる方がいます。

 

この場合は、買手の会社から、売手の会社にお金を貸し付けて、

売主のオーナーに支払います。

 

そのままでは、貸付金として資金が回収されず残ったままとなりますが、

通常のM&Aでは、売手は、買手の100%子会社となります。

 

となると、税務上、売手(子会社)から買手(親会社)への配当には、

税金がかからないことになります(※)。

 

※グループ法人税制という制度があって、

100%子会社が、親会社に対して行う配当は、

金額がいくらであっても、

配当を受け取った親会社側は、税金はかかりません。

 

親会社の決算書(損益計算書)では、

『受取配当金 1億円』となっていても、

これに対しては、法人税はゼロになります。

 

なので、毎期、子会社(売手)から配当をさせることで、

買手は貸したお金の資金回収をはかればよいのです。

 

もちろん、銀行から借入をおこして、退職金を支払ってもOKです。

 

M&Aというのは、売手はもちろん、

買手もそうそう経験があるものではありません。

 

したがって、双方いずれの立場であっても、

M&Aの経験がある専門家にアドバイスを求めることが、

結果的に、お金をためることにつながります。

 

私たちもM&Aに関する経験を蓄積しています。

もし、近くにアドバイザーがいない、という場合は、

お声掛けください。

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