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戦略・戦術

第236話 役員報酬をあげてください

強い会社を築く ビジネス・クリニック

オーナー会社の事業承継(株式承継)で効果的なのは、
経営者に高額の退職金を出すことです。


高額退職金を出す理由は、4つあります。


1つ目は、退任する経営者の功績に報いるため
2つ目は、株価を引き下げるため
3つ目は、法人税の節税につながるため
4つ目は、経営者個人の税率が低いため
です。


2つ目(株価引き下げ)以降を補足しましょう。


会社の株価の計算において、
一番重要なのは、内部留保(自己資本)の金額です。
これを減らせば減らした分だけ、株価は下がるのです。


株価を下げるために、一番わかりやすいのは、
貸借対照表の右下の剰余金の分だけ、
退職金として支払ってしまうことです。


これが、3億円あれば、退任社長に3億円を出すということです。
こうすることで、株価が一気に額面(資本金)まで落ちます。
実際に、顧問先では、剰余金が3.7億円、退職金も3.7億円を支払って、
株価がゼロになった、という会社もありました。


次に3つ目(法人税の節税)です。


高額退職金は、「不相当に高額でなければ」損金として経費に計上されます。
なので、30年に1度の大節税策ともいわれます。


例えば、経常利益が1億円の会社で、退職金を5億円だせば、
当期を含めて5年間は、法人税は発生しない、となります。


退職金を出すということは、一時的に自己資本が減りますが、
来期以降、利益が出ても、法人税が発生しませんから、
剰余金は、加速度的に増えてゆきます。


当然、これは特別損失なので、
営業利益、経常利益が赤字になることはありません。
対外的な評価が落ちることもありません。


最後に4つ目(経営者個人の税率が低い)です。


同じ1億円をもらう場合、
役員報酬なら所得税+住民税が55%かかりますが、
退職金は、25%で済みます。


つまり、退職金は、受け取る側にとってはとても優遇されています。
いわゆる「1/2課税」となっているのです。


「1/2課税」というのは、
退職金の額面金額に、「1/2」をかけて、
それに所得税をかける、というルールです。
だから所得税率が、役員報酬等に比べると低くなっています。


いいことずくめの高額退職金ですが、
今回お伝えしたいのは、高額退職金を出すには、どうしたらよいか?ということです。


退職金の計算式は、
月収 × 役員年数 × 功績倍率
これに功労加算金というものが加わります。


このなかで、一番大事なのは、月収です。
高額退職金を出すには、月収を高くしてください、ということです。


ここで一つ事例をあげます。
関西商事(仮称)での話です。
会社は年商30億、経常利益3億、自己資本額30億円、
自己資本比率90%という超優良企業でした。


社長である関西太郎社長(仮名)は、
もともと役員報酬は月額250万円でした。
私どものセミナーに出席され、
役員報酬を700万円に引き上げました。


その後に何が起こったか?


まず、社長のお母さまが高齢で亡くなりました。
遺産分割協議が難航しましたが、結果的にまとまりました。


そのときを社長は、述懐しました。
「あのとき、私の役員報酬を引きあげていて、
手元に現金があったため、もめずに遺産分割協議をまとめあげることができました。
あげておいて本当によかったです。」


それから数年してから、その太郎社長が70歳目前の若さで急逝してしまいました。
突然の死であり、相続対策はほぼ何もしていない状態で、
10億円近くの相続税がかかりました。
資産の大半は、関西商事の株式でした。


ここで、太郎社長の息子、3代目の一郎社長(仮名)から、改めて感謝されました。


「亡き父の役員報酬をあげていたおかげで、
8億円近い死亡退職金が出せました。


相続税を支払ううえで、これは大変助かりました。
先生方の講義や書籍で、役員報酬の考え方を聞いて、
父はそのとおりにしたわけですが、その指導で2回も助けられました。


父は、生前、言っていました。
“社長の適性給料も事業承継にかかわる本当の事も、誰も教えてくれない。
頼れるのはICOだけ”と。」


いろいろな顧問先の社長と話をしていると、
「役員報酬が少ない」と感じることが多々あります。
オーナー企業は、会社はもちろん、家(相続)もしっかり考えなければなりません。
会社だけを太らせては、自社株の評価がどんどん高くなってしまい、
相続のときに家族が大変な目にあいます。


オーナー社長は、会社も家も両方のバランスをとることが大切なのです。

 

 

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