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不動産

第65回 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い

売れる住宅を創る 100の視点

今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第12項目である、分譲マンションの商品計画の上で配慮が必要で工事単価が高く将来に音の問題や臭気のトラブル発生が予測できます『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』のお話を致します。

前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第11項目である『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』に関してのお話を致しました。
 
「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ソフト面やハード面 』の充実を図るという事でこのコラムでは13項目用意致しました。今回はその第12項目の分譲マンションの商品企画及び内容で売主の顧客に対する姿勢が表れます『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』という事を、皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も私が建築家として最も得意とする「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」であります。
 
分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )の入居後のトラブルを事前に回避した方が良いと思う事を私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
毎回このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向は、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さと数字のみに頼って分譲マンション等を企画し販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んでいます。販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いては現在、かなり苦戦を強いられ売れ残り住戸が多いので私はとても危惧致しており、その様なディベロッパーは淘汰されかねません。
 
更に、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」がどんどん進んでいます。これらの会社に打ち勝つには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って、顧客が購入意欲をかきたて、入居後も問題が起きない良い商品を作る事が大切です。
 
誠意が感じられ入居後も問題が起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、不動産業界に於いて良い評判を立て、更に会社の信用度が高まれば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に負けない会社になりえると確信しています。
 
そして、それを永遠に継続し、魅力的な良い商品作りをされていれば、一般消費者社会でも会社名や「 ブランド 」名と知名度も上がり販売におおいに寄与致します。
 
ですので、その様にされる事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと私は思います。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の最初の第12項目である『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』の内容は前回に引き続き分譲マンションの商品企画・基本計画段階での第一歩で、今回もこの事は販売後の売主の信用問題に発展致します重要な事なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから行う、分譲マンション等の商品企画・基本計画時点では是非、分譲マンションの内容は住戸のみにしまして顧客が音や臭気に悩まずに生活できる商品にして戴きたいと存じます。
 
そして、これも毎回申し上げていますが、分譲マンションの計画時点で一言申し上げておきます。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製販一体 』体制で分譲戸建や分譲マンション等の商品企画業務を遂行して戴きたいと思います。その理由は販売担当者が顧客の生の声を商品企画会議で発言し、その内容が良ければどんどん商品企画等に反映できるからなのです。
 
更に、今回の『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』の具体的な内容が販売担当の方々も良く理解し顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きがいつも長く申し訳ございません。さて、本題である『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
まず、「 下駄履きマンション 」とは何か…と思う方が多いと思いますので「 下駄履きマンション 」の御説明を致します。
 
「 下駄履きマンション 」とは1物件のマンションの中に住戸だけでなく、店舗や事務所が同居しているマンションの事です。特に最近の再開発マンションに多く見受けられます。
 
最近の再開発マンションを見ますと、マンションの1~2階や同じ敷地内に店舗や事務所が有る物件を多々みかけます。
 
この様な分譲マンションを製造・販売する場合は注意が必要です。特に下階が店舗や事務所の場合は入居後想像もしなかった事が起きます。
 
まず、下階や同一敷地内に入る店舗の種類がとても問題です。スーパーや飲食店が入店可能にしなければならない場合でしたら下記の2点の問題を設計時点で配慮致しませんと後で住戸の入居者からクレームが出ます。
 
1、下階にスーパーが入る場合はその店の中で「惣菜・揚げ物」を作っていますので厨房が有ります。その厨房の排気を下階から出していますと臭気が上階方向に上がり、上階の住戸に住まわれている方からクレームがでます。1階や2階の外壁から厨房排気されたら、臭気は上に上がりますので住戸の窓を開けますと 臭くてたまりません。どうしても同じマンションにスーパーを入れなければならない場合は厨房の排気ダクトをマンションのエレベーターや階段室の脇にダクトスペース(DS)を設置して屋上より2メートル位ダクトを上げてそこで排気しなければなりません。飲食店が下 階に入店している場合も同様です。この様に工事費をかけて専有面積を減らしてスーパーや店舗を設置しましても風向きに依っては臭気が住戸内に入ってくる場合がありますのでクレームになります。
  
2、また、スーパーは冷凍ケースが沢山必要です。冷凍ケースはエアコンと同様に屋外機が必要です。この屋外機の音が大きくかなりうるさいのです。まして24時間・1年中運転です。更にこの冷凍ケース用の屋外機の設置位置が重要です。下階が店舗等のマンションの形状は通常は正面から見ますと「 墓石型 」で店舗等の部分だけ上のマンション部分より張り出しています。この張り出ている屋根の上に冷凍ケース用の屋外機を置いている例が多いのです。この音も上に上がりますので上階のマンション入居者は特に夜はうるさくて窓が開けられません。ですので冷凍ケースの屋外機置き場の周りをコンクリートの壁で3面囲って音が上に行かない様にするのです。1階に設置しようが店舗の屋上に設置しようがこのコンクリートの囲いでかなり音は静かになります。但し屋外機の性能は若干落ちますが上階の入居者に配慮すれば当然の事です。この建築費もかなり掛かります。尚、店舗や事務所等の冷暖房の為の屋外機も上記と同様にしなければなりません。
 
「 下駄履きマンション 」を企画し、販売せざろう得ない場合は上記1及び2は必須条件です。また更に「 下駄履きマンション 」の場合は変電室等機械室が広くなり専有率が落ちます。
 
そして「 下駄履きマンション 」の店舗部分や事務所部分の所有者が同じマンションの住人ですと管理組合等でバックヤードの清掃等が問題になり、なかなか解決できません。
 
「 下駄履きマンション 」でこれらの事は私が実際に体験しました事柄ですので、準大手や中堅ディベロッパーはこの様な費用の掛かる面倒なマンションの企画・販売は避ける方が良いというのが私の持論です。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションは中規模や小規模の総戸数50戸以内の物件が多いと思います。ですので、今回の「 下駄履きマンション 」は避けて戴きたいと存じます。特に再開発マンションは避けた方が賢明だと思います。
 
今回の『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』も、これから新規分譲マンションの商品企画に役立てて下されば幸いです。
 
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣い及び将来問題が生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
但し、毎回注意していますが、クレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事を肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の最後である第13項目『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
 
 
                                                              以上
 
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