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不動産

第66回 「14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い」

売れる住宅を創る 100の視点

今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第13項目である、分譲マンションの商品の内容でかなり優劣が現れるところであり商品計画時点での配慮が大変重要な個所です。ですので今回は『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』のお話を致します。

 
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第12項目である『 「 下駄履きマンション 」は避けた方が良い。 』に関してのお話を致しました。
 
「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ソフト面やハード面 』の充実を図るという事でこのコラムでは13項目用意致しました。今回はその第13項目の分譲マンションの内容の優劣が如実に現れ、更に顧客に対する売主の姿勢を評価されます『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』という事を、皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回は私が建築家として最も得意とする「 モノづくり 」に対する重要な「 こだわり 」であります。
 
分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を販売しているか否かの判断基準になりますので、私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
毎回このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向は、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さと数字のみに頼って分譲マンション等を企画し販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んでいます。販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いては現在、もはやかなり苦戦を強いられ売れ残り住戸が多いのです。その様なディベロッパーは淘汰されかねませんので私はとても危惧致しております。
 
更に、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」がどんどん進んでいます。これらの会社に打ち勝つには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事がとても大事です。顧客に購入意欲を起こさせて、入居後も問題が起きない良い商品を作る事が大切です。
 
誠意が感じられ入居後も問題が起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、不動産業界に於いて良い評判を立て、更に会社の信用度が高まれば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に負けない会社になりえると確信しています。
 
そして、それを永遠に継続し、魅力的な良い商品作りをされていれば、一般消費者社会でも会社名や「 ブランド 」名と知名度も上がり販売におおいに寄与致します。
 
ですので、その様にされる事を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと私は思います。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の最初の第13項目である『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』の内容は前回に引き続き分譲マンションの商品企画・基本計画段階での第一歩でとても配慮が必要です。特に今回の内容は売主の顧客に対する姿勢を問われる事ですのでとても重要な事なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから行う、分譲マンション等の商品企画・基本計画時点では是非今回のコラム内容を遵守して下さい。最近の新規分譲マンションの内容で購入者( 入居者 )がかなりこだわりを持っている住戸内空間の広さの話です。
 
そして、これも毎回申し上げていますが、分譲マンションの計画時点で一言申し上げておきます。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製販一体 』体制で行い分譲戸建や分譲マンション等の商品企画業務を遂行して戴きたいと思います。その理由は販売担当者が顧客の生の声を商品企画会議で発言し、その内容が良ければどんどん商品企画等に反映できるからなのです。
 
更に、今回の『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』の具体的な内容が販売担当の方々も良く理解し顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きがいつも長く申し訳ございません。さて、本題である『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
建築基準法では地盤面からの建物高さにより、高くなればなるほど色々防災面で厳しくなります。
 
建築基準法に於いて建物の高さは31メートル、45メートル、60メートルが節目になります。このそれぞれの高さを超えますと防災面等の基準が厳しくなり、工事費も割高になります。
 
最近は高さ60メートルを超える超高層マンションが増えてきましたが、多くのマンションは建物高さを45メートル以内(実際は未満)に押さえた物件が多いのです。
 
この建物高さ45メートル以内の物件は階数に依り売主の購入者への配慮が良く判りますので要注意なのです。
 
最近の購入予定者は購入予定物件の「 物件概要 」を隅々までよく見ています。そして、その「 物件概要 」中の「 構造・規模 」或いは「 構造・階数 」の項目を重点的にチェックしています。
 
この項目欄に「 地上14階建て 」と書いてあればその売主の作るマンションの設計基準は一流で購入者への配慮をしているから良い会社だと評価致します。
 
処が、この項目欄に「 地上15階建て 」と書いてあればその売主の物づくりは利益最優先で購入者への配慮をしていないと購入対象物件から外している傾向が強いのです。
 
特にこの件は最近テレビやメディアがよく番組で取り上げています。
 
ここで、具体的にその理由を御説明いたします。まず1階の住戸の床面は地盤面からの高さが約50センチ必要です。そして、屋上のアスファルト防水の立ち上げ高さが30センチ以上必要なのでその外側のパラペット( 立ち上がりコンクリート壁 )高さは最低約50センチ必要なのです。
 
高さ45メートルの建物から地盤面からの1階床の高さ約50センチとパラペット高さ約50センチを引きますと44メートルになります。
 
この44メートルを14階( 層 )で割り算致しますと1階( 層 )当りの平均階高は約3.14メートルになります。この高さのマンションでは丁度良い階高( ある階の床面からすぐ上の階の床面までの高さ )になり二重床仕様と共に二重天井仕様が可能です。
 
処がこの44メートルを15階( 層 )で割り算致しますと1階( 層 )あたりの平均階高は約2.93メートルとなってしまい3メートル未満になってしまいます。そう致しますと二重天井仕様は可能でも二重床仕様に致しますと玄関扉高さや部屋( LD以外 )のサッシュの上端の高さが2メートル確保できなくなります。
 
直床仕様にするしか有りません。直床仕様ですと上階の音の影響が大きく、また将来のリフォームやリノベーションが不可能に近くなります。
 
10階建て以上のマンションでは平均階高は最低でも3メートルは必要です。
 
この様に14階建マンションと15階建マンションとは売主の顧客に対する配慮が全く異なる事が購入予定者に分かってしまいますので、商品企画時点で充分に気をつけてマンションの基本設計して下さい。
 
ちなみに、最近竣工後売れ残っているマンションの多くは「 地上15階建て 」のマンションなのです。
 
また、その様なマンションを販売していますディベロッパーの評価が落ちていますので気を付けて下さい。
 
今回のコラム『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』は、これから新規分譲マンションを計画していますディベロッパーにとって一番大事な事ですので商品企画に役立てて下されば幸いです。
 
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣い及び将来問題が生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
但し、毎回注意していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事を肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の最初である第1項目の『 「天井高」より「階高」を重視。 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
 
 
                                                              以上
 
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