今回はフェーズ7「 住環境づくり 」五項目の最後である五番目に大切なポイント、『 周辺環境が良い事 』の御説明を致します。
前回はフェーズ7「 住環境づくり 」の第四項目『 自然環境が良い事 』のお話を致しました。『 自然環境が良い事 』は不動産事業での用地手当てに関する際にはかなり重視する部分です。その大切さは私の今までの経験を通して御説明致しました。最近はシニア層 の方々が定年近くなり社宅を出なくてはならないので新規分譲マンションや建売戸建を購入する方が増えているそうです。特にシニアー層は『 自然環境が良い事 』に敏感です。シニアー層が新規分譲マンションや建売戸建の購入動機には『 自然環境 』がかなり重要 になっています。
準大手や中堅ディベロッパーが販売している、新規分譲マンションや建売戸建物件の周辺の『 自然環境が良い 』と販売は結構、顧客の評価が良く順調にいっている様です。「 住環境 」が良い地域でも自然環境が貧弱な地域では「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」の 販売はかなり苦戦を強いられている傾向です。
さて、今回はフェーズ7「 住環境づくり 」5項目の最後の第5項目です。毎回、申し上げていますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとってはこれから分譲予定物件の「 住環境づくり 」はとても重要で会社の繁栄につながります。
ですので、今回のタイトルは五番目に重要な『 周辺環境が良い事 』に致しました。今回も私の今迄の分譲マンションや建売戸建等の設計業務の経験に基づいた大切なお話です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に『 周辺環境が良い事 』の重要さを具体的に御説明致します。
毎回、申し上げていますが、私は2000年に体調を崩し「 東急設計コンサルタント 」設計部長を辞し退職致しました。「 東急設計コンサルタント 」在籍中に数多くのマンションの設計・監理の経験やクレームに対峙した経験が現在では今の私の財産のひとつです。そして、2002年に「 碓井建築オフィス 」を設立し、現在までに十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションや建売戸建団地等の商品企画のコンサルティングや設計監修を数多く行っています。また、購入者向けに「 購入相談 」「現地同行チェック」や「 内覧会同行チェック 」も行っていますので購入予定者や購入者の生の声を沢山聞いておりこのコラムに反映させております。
これらの業務の経験を踏まえて、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの用地取得担当の方に申し上げたいのは、今回も特に用地選定にもかかわる事ですので『 周辺環境が良い事 』は用地仕入れ担当者の方々だけでなく、商品企画部門のメンバーの方々や販売担当の方々にも是非御読みいただきたい大切な内容です。
「 住環境づくり 」で五番目に重要なのが『 周辺環境が良い事 』なのです。
「 住環境の良い地域 」で「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」を販売致しますと、交通利便性が良いと直ぐに申し込みは入りますが契約までにはなかなか至らず、前々々回の『 社会環境が良い事 』、前々回の『 教育環境が良い事 』、前回の『 自然環境が良い事 』や更に今回の『 周辺環境が良い事 』を重視いたしませんと準大手や中堅ディベロッパーは「 ブランド 」が浸透していないので販売時には大変苦労致します。
特に最近の都市部の分譲マンションや建売戸建の購入者は、物件の場所を中心に約半径50メートル~100メートル位の『 周辺環境 』をチェックしています。
では具体的に『 周辺環境が良い事 』とは何でしょう…。
具体的に申し上げれば、分譲物件のミクロ的見地での「 周辺の環境状況 」です。物件隣地の建物の用途等や、物件周囲周辺等の環境が悪いと販売にとても苦慮致します。
先日、「 現地同行 」チェックを例に御説明致します。
その「 現地同行 」チェックしました物件はマクロ的見地から判断いたしますと、人気の高い私鉄沿線で、更に最寄り駅から5分以内で、俗に言う立地はとても良かったのです。
ところが、物件の現地に行きましたらびっくり致しました。
なんと、物件は幅員約6メートル未満の道路が南側に接していまして、その道路の反対側には5階建てのマンションが建っていたのです。この物件のマンションの高さは7階建てでしたが、私の検証では下層階の住戸は冬至の頃には全く日照を期待できないのです。
更に東側、西側の隣地には中層の建物が建っていたのです。これでは低層階は角住戸でも冬至の頃の日照は全く期待できません。案の定、売れ行きはイマイチで上層階のみ申し込みが入っていました。
上記は、物件の『 周辺環境 』が良く無いほんの一例です。
更に物件の『 周辺環境 』が良く無い例を御紹介致します。
最近、マンションや戸建団地用の一定の広さがあり平らな用地が少なくなっています。ですので斜面に建つマンションや段状に整地した戸建団地が増えてきました。この様な地形の物件は大手ディベロッパーでも販売に苦慮していますので、準大手や中堅ディベロッパーは手を出さない方が賢明です。
2011年3月の「 東日本大震災 」以降、購入者は地形にかなり敏感になってきています。特に分譲マンションや分譲戸建団地が崖の上や、崖の下の場合は嫌われている様です。
ちなみに、東京都では高さ2メートル以上の崖上や崖下に建物を建てる場合はかなり厳しい規制がありますので、用地取得前に建築士の方と一緒に充分に役所にヒアリングが大切です。
近頃は新規分譲マンションや建売戸建の購入予定者は絶対と言える程、現地を良くみてから、購入するか否か決めますので、ミクロ的見地の『 周辺環境 』の検証は大切な事です。
販売物件の「 周囲の環境が良い事 」をおろそかにしては、いけません。
『 周辺環境 』をおろそかに致しますと、顧客リストの少ない、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは販売に苦慮し、会社の存続にかかわりますので要注意です。
尚、次回からはフェーズ8の「 モノづくり 」第1項目の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4点の最初である『 モデルルーム及びモデルハウスがオプション満艦飾は避ける事。 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いです。