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不動産

第64回 「 ごった煮 」マンションは入居者の層が異なり管理組合等で問題多発

売れる住宅を創る 100の視点

このコラムを御覧戴いている皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第11項目である、分譲マンションの商品計画上で大事な「 管理等のトラブル 」が発生しない様な「 顧客層( 入居者層 )の年齢や階層の均一化 」に充分配慮して戴きたいと存じますので、今回は『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』のお話を致します。
 
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第10項目である『 共用施設は少ない方が良い  』に関してのお話を致しました。
 
「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ソフト面やハード面 』の充実を図るという事でこのコラムでは13項目用意致しました。今回はその第10項目の分譲マンションの商品企画時点で売主の誠実さが表れます『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』という事を、皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も私が建築家として最も得意とする「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」であります。
 
分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が分譲マンションの将来を見据え、現在アチコチで問題抱えた商品企画に関して私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
毎回このコラムで、申し上げていますが、最近の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向は、良い商品を作って分譲しているディベロッパーと、販売力の強さのみのディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んでいる様に感じられます。販売力の強さのみに頼っているディベロッパーに於いては現在、かなり苦戦して売れ残り住戸が多いので私はとても危惧致しております。
 
更に、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」が進んでいます。これらの会社に打ち勝つには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って、顧客が購入意欲をかきたて、入居後も問題が起きない良い商品を作る事が大切です。
 
誠意が感じられ入居後も問題が起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、不動産業界に於いて良い評判を立て、更に会社の信用度が高まれば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に負けない会社になりえると思います。
 
それを継続し、魅力的な良い商品作りをされていれば、一般消費者の社会で会社名や「 ブランド 」名と知名度も上がります。
 
ですので、その様にされる事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと私は思います。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の最初の第11項目である『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』の内容は前回に引き続き分譲マンションの商品企画・基本計画段階での第一歩で、この事は販売後の売主の信用問題に発展致します重要な事なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから行う、分譲マンション等の商品企画・基本計画時点で是非、想定顧客( ターゲット )の多層化をせずに想定顧客の価値観が共有できる様な価格帯及び住戸広さにこだわりをもって商品企画をして戴きたいと存じます。
 
その前に分譲マンションの計画時点で一言申し上げます。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、これからは絶対に『 製販一体 』の体制で分譲戸建や分譲マンション等の商品企画業務を遂行して戴きたいと思います。その理由は販売担当者が顧客の生の声を商品企画会議で発言し、その内容が良ければどんどん商品企画等に反映できるからなのです。
 
そして更に、今回の『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』の具体的な内容が販売担当の方々も良く理解し顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きはさておき、本題である『 「 ごった煮 」マンションは管理組合等で問題多発  』をこれから具体的に御説明致します。
 
まず、『 「 ごった煮 」マンション 』とは何ぞや…と思う方が多いと思いますので『 「 ごった煮 」マンション 』の御説明を致します。
 
「 ごった煮 」とは野菜、魚や肉等を一緒に一つの鍋で煮込んだB級グルメの煮物です。私はこれを比喩し、購入者( 入居者 )の年収が約500万円~3000万円超の広い階層の方々が入居されていますマンションを『 「 ごった煮 」マンション 』と呼んでいます。
 
『 「 ごった煮 」マンション 』の具体的な住戸構成で御説明致しますと、ひとつの分譲マンション( 物件 )に1R( ワンルーム :専有面積約40平米≒ 約12坪 )から1LDK、2LDK、3LDKや4LDK( 専有面積100平米≒30坪以上 )等が設けられている分譲マンションの事です。
 
この様にひとつの分譲マンションに1Rから4LDKまで多種にわたって設けられていますと、購入者( 入居者 )の階層がかなり異なってきます。
 
購入者( 入居者 )の階層が異なりますと年齢、価値観や収入も異なります。その結果、管理組合での議論がまとまらず約10年以前に建てられたマンションでは管理規約の改訂や修繕個所の有無等で問題が多発しています。
 
そうなりますと経済的に余裕の有る方は、売却して別の新たな分譲マンションを購入し、出ていってしまうのです。そしてその『 「 ごった煮 」マンション 』を分譲したディベロッパーの評判も悪くなるのです。
 
また更にその結果、築後20年位経ちますと、キチンと修繕等を行っていませんので『 「 ごった煮 」マンション 』の管理内容もイマイチになり「 スラム化 」していくのです。
 
この事は最近マンション管理業者の協会でかなり問題になっているのです。そしてこの事は不動産業界だけでなく、マンション購入予定者の方々にもかなり話題になってきているそうです。
 
ですので、このコラムを御覧下さっている準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから新規分譲するマンションの商品企画時に於いて住戸は2LDKから4LDKまでにされてなるべく同じ階層の購入者( 入居者 )をターゲットにした商品にすると良いのではと思います。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションは中規模や小規模の総戸数50戸以内の物件が多いと思いますので、是非『 「 ごった煮 」マンション 』は避けて戴きたいと存じます。特に大規模なタワーマンションの分譲は控えた方が賢明だと思います。
 
ちなみに、15年前頃に建てられたタワーマンションがほとんど『 「 ごった煮 」マンション 』でかなり管理組合の運営が円滑にいかず困っているそうです。
 
これから新規分譲マンションの商品企画に役立てて下されば幸いです。
 
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣い及び将来問題が生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
但し、毎回注意していますが、クレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事を肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第12項目である『 「下駄履き」マンションは避けた方が良い。 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
 
                                                              以上
 
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