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教養

第62回 『感じるままに生きなさい ― 山伏の流儀』(著・星野文紘)

眼と耳で楽しむ読書術

年度末は、年末とはまた一味違う区切りの時期。
 
リーダーとして、新年度に向かう意識も高まっていることと思います。
 
時間のないリーダーにとって、
読書を通じて得られるものは本当に貴重ですよね。
 
他の優れた経営者の本はもちろん、
まず出会うことのなさそうな異分野のリーダーから、
何かを学べるのは読書の醍醐味です。
 
今回紹介する本は、かなり異色、
しかし、大きな魅力を持つリーダーによる一冊、
 
『感じるままに生きなさい ―山伏の流儀』

62-1.jpg
 
です。
 
 
著者は、山伏!
 
山形県の霊山・羽黒山を拠点にする
羽黒山伏の最高聖者、
また、17世紀からつづく出羽三山の宿坊「大聖坊」の13代目、
星野文紘氏。
 
山伏といえば、修験道。
会社のオフィスとは対局にあるといっていい山中において、
一体どのような指導を行っているのか?
修行者にどんな変化が見られるのか?
 
読み進めるほどに、他の本にはない考え、
ビジネスや部下教育のヒントになることが続々。
その意外性に、ハっとさせられます。
 
たとえば、
 
「修行というのは厳しいほうが効果が出ると踏んでいるから、
俺はものすごく厳しくやる。
修行中は一言もしゃべらないし、俺も説明もしない。
言葉がない行というのは、いろんな気づきにつながる。
ふだん、みんないかに言葉で解決しているか。
言葉なしでやらなきゃいけないから、これは最高の場だ。
それに、山に行くと人が見えるんだよ。
山に行くと、自然もものすごく見えるし、人も見えてくる」
 
「なぜ修行をするのか?
簡単にいうと、昔の人のような魂にするためだ。
昔の人たちは魂が強いんだよ。
だから昔の人の魂の段階に自分の魂を持っていけばいいわけだ。
魂を強くして、その感じたことが答えだから」
 
…といった具合に、今どきのやり方、考え方とは、だいぶ異なります。
 
しかし、修行にやってくる今どきの若者たちに
星野氏の厳しい指導はしっかり届いているように感じられます。
イヤがられるどころか、喜ばれている。
女性にも人気(笑)
それはなぜか?
 
答えは本書の中にあります。
そこをつかむことが、大きな意義になることでしょう!
 
理論でも理屈でもない
シンプルな言葉の1つ1つに
重みと深みがあります。
 
ビジネス書とは全く違う、新鮮な感覚の人間学、リーダー学、
ぜひお楽しみください。
 
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『シューマン:ピアノ・ソナタ第2番、森の情景、暁の歌』 (演奏:内田光子)

62-2.jpg

です。
 
日本が誇る名ピアニスト、内田光子さんの深淵なるピアノ世界は
森以上に山をも感じさせてくれます。
ぜひ合せてお楽しみください。
 
では、また次回。
 
 

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