■今、オーディオが熱い!
今から20年~30年前、オーディオを趣味にする方は多く、日本には世界に誇る沢山のオーディオメーカーも存在しました。しかし近年、音楽はスマートフォンにイヤホンを接続すれば聴ける時代になり、据え置き型オーディオの衰退と共に、オーディオ専門メーカーや大手家電メーカーのオーディオブランドが姿を消したのは周知の事実です。
そんなオーディオの衰退とは逆行して、空前の成長を遂げているのが「ヘッドホン」。携帯型音楽プレーヤー「iPod」が登場して以降、その手軽さが受け、音楽を聴く人口が増えたのを発端に、良い音で聴きたいと言うニーズが生まれ、今では、1万円前後と比較的高価な製品も人気です。10万円を超える製品も登場し、若者に加え、20年~30年前にオーディオに熱狂したミドル~シニア層の注目も集めており、勢いは暫く続きそうです。
据え置き型オーディオからヘッドホンに姿を変えましたが、再び「オーディオ」が熱くなっているのは事実と言えるでしょう。時代にマッチした進化かもしれません。
■ヘッドフォンから据え置きオーディオへの回帰
かつてオーディオを手がけた日本の電機メーカーは、ヘッドホンでオーディオに興味を持ったユーザーを、再び据え置き型オーディオへ引き戻したいと思っているようです。ビジネス面での思惑もありますが、やはり、オーディオはスピーカーで聴いた方が楽しいですし、技術面では、かつてのオーディオブームを支えた往年のエンジニア達が大勢いるのです。
そんな状況で登場し、注目を集めているのが、Olasonic(東和電子)の超小型オーディオ「NANOCOMPO」です。ミニコンポのようなセット製品ではなく、アンプ、CDプレーヤー、スピーカーを別々に買いそろえるスタイルで趣味性が高く、価格も据え置きタイプの大型製品と同等です。特長はコンパクトで高品位。CDケースほどの超小型ながら、音質は据え置き型オーディオと方を並べるレベルで、外観の質感や細部の加工も品位が高く、所有する悦びも味わえます。ヘッドホンでオーディオに興味を持ったユーザーには、この凝縮感は興味深い事でしょう。
東和電子が発売する「Olasonic」ブランドの「NANOCOMPO」シリーズは、アンプ、CDプレーヤーなどをラインナップ。今後もシリーズ製品を追加の見込み。NANO-UA1はUSBデジタル音声入力が可能で、パソコンからの音も、アンプを通じて良い音が楽しめる。
写真は、アンプのNANO-UA1(左下)に、CDプレーヤーNANO-CD1を組み合わせた例。写真左は大きさ比較用の一般的なCDのケース。両製品とも縦置き設置もでき、さらなる省スペースの要求にも答えてくれる。手前は製品に付属のリモコン。
音楽を聴くには別途スピーカーが必要。スピーカーを選ぶのもオーディオの楽しみナノです。
*東和電子「Olasonic」NANOCOMPO 製品ホームページ
■今後の動向に注目!
統計データによると、CDの売上げもプラスに転じたように、「音楽を聴く」と言う趣味自体が廃った訳ではありません。むしろ普遍的と言っても良いでしょう。
オーディオは、ヘッドホンで切っ掛けを掴み、現在にマッチしたスタイルに変化する事で再びブレークしそうです。今回ご紹介した「NANOCOMPO」は既に高い注目を集めています。またオーディオ専門メーカーの一部からも、小型で高品位なオーディオが登場し始めており、大手メーカーにも波及するかもしれません。かつて、世界を席巻した日本のオーディオ技術が再び注目を浴びそうです。
デジタル化が進み、安くて「そこそこ」の製品が主流の現在ですが、日本のモノ作りが得意とする「良いモノ」が再び受け入れられるかどうかを占う上でも、「NANOCOMPO」や超小型高品位オーディオの、今後の動向に注目してみてはいかがでしょうか?
鴻池賢三