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仕事術

第127回 40万円のウォークマンを多面的に考える

デジタルAVを味方に!新・仕事術

2022年3月下旬、ソニーが新しいウォークマン「NW-WM1ZM2」(実売価格約40万円)と、「NW-WM1AM2」(実売価格約16万円)の発売を開始しました。高級タイプのメモリ型ポータブル音楽プレーヤーです。
一般紙やニュースサイトでは、「高過ぎ!」「誰が買うの!」といった声が取り上げられ、話題になりました。一方、オーディオマニアからは、「待ってました!」と好意的な反応が多いのも事実。
一般的な消費者やビジネスパーソンは、この事象をどう捉えれば良いのでしょうか?
この記事では、多面的に考察します。

【写真】NW-WM1ZM2(左)とNW-WM1AM2(右)

■新しいウォークマンの概要
まずは、簡単に製品のご紹介を。
最新最上位のフラッグシップモデル「NW-WM1ZM2」(実売価格約40万円)は、金色の外観が特徴です。筐体は、純度が99.99%と高い無酸素銅の塊を削り出して製作され、音質を考慮した金メッキが施されています。因みに、前モデルの「NW-WM1Z」の発売は2016年の10月。約5年越しの新製品です。
NW-WM1AM2」(実売価格約16万円)は、「NW-WM1ZM2」に対し、機能面ではメモリ容量の違いのみ。最大の違いは、筐体が銅ではなくアルミ素材という点です。
両者に共通しているのは、ハイレゾ対応で究極の高音質を目指している点。機能面では、Wi-Fiに対応し、各種ストリーミングサービスやYouTubeの視聴なども可能と、用途の広がりや使い勝手も考えられています。


■一般消費者から見た価値
いくらメーカーが高価な素材を使い、一生懸命開発しても、結果が伴わなければ、消費者にとって価値はありません。オーディオの場合、その価値は音質ですが、機能や性能のように、定量的に評価できないのが難しくも面白いところです。
結局のところ、40万円に見合う音がするのか? 答は「ノー」でもあり「イエス」とも言えます。
まず、オーディオの高音質とは、非常に繊細なものです。例えば、安価なオーディオ機器でも、ある歌手の声が、違うヒトの声に聞こえるということはまずありません。こうした観点で考えると、40万円は「高過ぎ!」「誰が買うの!」と、という反応は当然と言えます。一方で、熱心な音楽ファンやオーディオファンは、少しでも良い音と感動を求め、そうした方々にとって、価格は問題にならないかもしれません。趣味は様々で、皆さんも当てはまる部分があるのではないでしょうか?
因みに、開発者によると、99.96%の無酸素銅と99.99%の無酸素銅を比べると、と99.99%の無酸素銅を選択する価値があるとの結論に至ったそうです。筐体の素材は、電子回路などに直接影響しませんが、オーディオの分野では、素材の違いが音の違いに現れることが理解されています。もちろん、金やチタンなど、より希少、あるいは高価な材料を使ったからと言って、良い音になる訳でもありません。

【写真】NW-WM1ZM2の筐体。99.99%の高純度無酸素銅を削り出して製作。

■製造業の付加価値戦略
近年はスマホとサブスクリプション型のコンテンツサービスが台頭し、日本的な、精密、精巧、高品質といった、高度なモノ作りが価値として認められにくくなってきたのは事実と言えます。ノウハウや物量を投入した「高級」がどこまで通用するのか。こうした時代背景も含め、金融、映画、ゲームなどに主軸を移しつつも、高級ウォークマンを製品化するソニー動向は、注目に値すると思います。

なお、筆者は中小の工場ともお付き合いがありますが、よくある相談が、下請けを脱客し、自社の技術を活かした製品を作りたいというものです。留意するとすれば、良い素材を高精度に仕上げても、消費者にとってメリットが無ければ、自己満足に終わってしまうという事です。マーケットを知る事、消費者を知る事、魅力あるストーリーやデザインの創出、製品の存在を知ってもらうための広報活動や宣伝、どれも欠かせません。考え過ぎても前に進みませんが、戦略は不可欠。自社ブランドの立ち上げで、技術の一方的な押し付けにと見える失敗例は非常に多く見てきましたので、ご参考になれば幸いです。


■まとめ。結局、高級ウォークマンの感想は?
新しいウォークマン2モデルを視聴した、オーディオファンでもあり評論家でもある筆者の感想ですが、両モデルとも、流石に安価とは感じませんでしたが、共通して音に勢いがあり、立体的な表現力に、従前モデルとの違いを感じました。ノウハウが蓄積された進化によるものでしょう。特に、「NW-WM1AM2」(実売価格約16万円)は、爽やかな音調で筆者の好みに合うもの。オーディオの価値は、物量や価格に惑わされず、自身が感じたままに決めれば良いでしょう。
余談ですが、もし昔話のように、沼にオーディオプレーヤーを落として、神様に「落としたのは金色か、それとも黒色」かと尋ねられたら、「金色」と答えてしまうかもしれません。冗談ですが、オーディオには、「思い込み」も大切な要素。ソニーとソニーのエンジニアは、信頼に値すると考えています。
オーディオや音楽に興味がある方は、販売店などで一度、試聴されてみてはいかがでしょうか? 自由に外出が難しい今、新しい楽しみになるかもしれません。旅行やグルメと比べると、40万円のオーディオは、それほど高価ではないという方も多いと聞きます。

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