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社長業

第54回 幾代も続く会社をつくる「一族のルール」

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2023年11月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 立場的に色々な会社のお家騒動を相談される。兄弟経営について後継者について、会長について、奥さんについて、親族について…オーナー経営にとって一族に何か問題があれば、社長は100%のパフォーマンスを発揮できなくなる。「一族の和」と「経営」は、切っても切り離せないものである。

 牟田 學は昔から、「子供が二人いたら、会社を二つ作りなさい」と言ってきた。

 私が日本経営合理化協会に入協した1999年はデフレ真っ只中だった。まだバブルの余波を引きずったお客様も多かった。「自社ですらそんな状態で、また新たに同じような会社を作れとは無茶な話だ」と当時は思った。

 しかし、時代は変わった。リーマンショックだ、大震災だ、大型台風だ、コロナ禍だと、これだけ短期間に様々な危機が訪れるようになってしまった。本業のリスク分散のために、もはや事業の多角化は理想ではなく急務となった。社長業もかつてと比べて、やるべきことは格段に増えた。そんな中で一族の問題で頭を抱えている時間などない。一族も家族だが、社員やその家族、それだけではなく取引先様や多くのお客様も背負っているからだ。

 それほど大事なものであるにもかかわらず、「一族のルール」を持っていないがために揉めてしまう会社が多い。
 実学の門などでも言っているが、私のルールは明快だ。「基本的に親族は入れない」「株は分散しない」というものだ。勿論例外もある。「優秀であること」「自分で完全にコントロールできること」だ。

 100年企業であるオタフクソースの6代目、佐々木茂喜社長は「家族憲章」なるものを作成した。創業一族8家族が社内にいたという。その8家族が社内で揉めたらどうなるか、これをお読みの方も想像がつくだろう。家族憲章の一部をここに紹介する。

 ・株は8家族で均等に配分
 ・1家につき入社できるのは1人まで
 ・65歳で現役引退、その後は顧問、相談役に就任
 ・取締役の半数以上を同族以外とする
 ・決めごとは全員が納得するまで議論
 ・5年に一度憲章の中身を検証、改定する…
            というものである。これが機能している。

 一族というのは、カチッとはまり同じ方向を目指せばこんなに頼もしいものはない。だが、一旦揉めると身内なだけに遠慮がなく行くところまで行ってしまう場合がある。そうなってしまえば、可哀想なのは社員たちである。気をつけなければならない。

 「一代で会社を興し、二代目がその財を使い果たし、三代目が貧乏をする」などとよく言われる。それほど会社を永く継続させていくことは難しい。

 また、若い時は線引きができていても、人間歳をとれば情が勝ってしまう時もある。今のうちに自分の「一族のルール」を文字にしてカタチにして残していくことをお薦めしたい。

※本コラムは2023年11月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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