menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

新技術・商品

第1話 「こう来たか!」のチーズナイフ

北村森の「今月のヒット商品」

みなさん、初めまして。
商品ジャーナリストの北村森です。流行情報誌の編集長を経て、独立し、今は「消費者がお金で買えるもの」すべてに目を凝らしながら、商品チェックや消費トレンド分析を続けています。
月に一度のコラムで、新製品やサービスを取り上げ、ヒットしそうな理由を挙げつつ、そこから何を学べそうかを検証していきたいと思っています。
第1回は……。
 
mori01_01.jpg

これは何かというと、チーズナイフです。岐阜県の関といえば、刃物の製造で古くから知られる地ですね。その関にある三星刃物が7月下旬に発売したばかりの「和 NAGOMI チーズナイフ」がこれ。
三星刃物 http://nagomi.mitsuboshi-cutlery.com
 
チーズナイフなんて、これまで散々登場していますが、私がこの製品に惹かれたのはまず、その謳い文句なんです。「硬いチーズも柔らかなチーズも、このナイフ1本で切れる」というもの。ありそうで実はなかったチーズナイフ、ということです。硬いチーズに合わせたナイフだと、柔らかなチーズの場合、中身を潰してしまうこともあるし、逆もまたうまくいかないケースが多いですから、それが本当なら、これはすごいという話になります。
 
販売価格は税別で8,000円。決して安いものではありません。ただ、ですね。デザインも相当にいい。チーズナイフはホームパーティ、あるいは家族同士の家呑みといった場面で、ダイニングの卓上に置いて使い物ですから、絵になるかどうか、というのも、ひとつの重要ポイントと言っていい。ハンドル部の木目が美しく、段差のない処理を施されているデザインは、確かに美しいし、実際、握り締めても、手にとても馴染む。さらに言うと、このチーズナイフ、いい按配に自立するんですね、刃の根元を支点にまっすぐに置ける。こういうところもいい。
 
mori01_02.jpg
 
では、謳い文句にたがわず、ちゃんと、硬いチーズも柔らかなチーズも切れるのか。やってみました。
東京都内の人気チーズ専門店で尋ねました。「この店で一番硬いのと、一番柔らかいのをください」。
 
硬いチーズは、パルミジャーノ・レジャーノの36ヶ月熟成もの。
 
チーズナイフの説明書によれば、硬いチーズは刃を水平に当てて切るように、とあります。で、その通りにやると……。
 
mori01_03.jpg
 
あっけないほど、すんなり切れました。
 
では、柔らかいほうは?エポワスを切ってみました。ウォッシュタイプのチーズとして知られる逸品ですね。でも、これ、かなり柔らかいチーズだけに、ややもすれば、チーズごとぐにゃりとさせてしまいそうです。でも……。
 
mori01_04.jpg
 
あっ。こちらも見事に切れました。刃先をチーズの先に刺して、そこから刃の弧を使うようにして下ろしていくのがコツですが、そんなに難しい話ではない。
 
そして、どちらの場合も、ナイフ側に、さほどチーズが残らない。これも大事な部分ですね。これまでのチーズナイフの場合、刃先に穴の空いたタイプが少なくありませんでしたが、この場合、チーズが穴にはまりがちだし、チーズの切り口もスマートではなくなります。そういうことが全くなかったのは美点でしょう。
 
私は思いましたね。「消費者がハナから諦めていたところに斬り込む商品」というのは、やはり強いなあ、ということ。チーズナイフとはこんなもの、と考えていたら、その上をはるかに行く商品が出てきたというわけです。それを可能にしたのは、刃のつけ方や形状であり、未来からやってきたような未知のテクノロジーでは必ずしもない、というところも痛快な話ですね。要するに、硬いのも柔らかいのもいけるチーズナイフを作ってしまおう、と思い立つかどうか。そこが分岐点でしょう。最初から、「そんなもの、ありえない」と片付けてしまわなかったところを評価したいのです。
 
それって、他の商品ジャンルでも、ありえる話ではないでしょうか。

 

第2話 これはまさに「出会いもの」次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 《大ヒット商品・新流行》超トレンド予測

    音声・映像

    《大ヒット商品・新流行》超トレンド予測

  2. 2023年《大ヒット商品の作り方》

    音声・映像

    2023年《大ヒット商品の作り方》

  3. 2022年《超トレンド予測》

    音声・映像

    2022年《超トレンド予測》

関連記事

  1. 第74話 「そのときの不便」を解消する快作!

  2. 第47話 低価格競争からの脱却が理由だった!

  3. 第44話 陸前高田から中小企業が学べること!

最新の経営コラム

  1. 相談7:含み損のある土地があるのですが、別会社で買うのがいいか、個人で買うのがいいか、どちらでしょうか?

  2. 第9回 注意しても部下が変わらないのはなぜか? ~原因は人ではなく仕組みにある~

  3. 第146回 地味ながら世のクラウド化の追い風を受けて高成長を遂げる サイバーリンクス

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 採用・法律

    第101回 『知財戦略で未来を切り開く』
  2. コミュニケーション

    第80回「どうする?! 2024(令和6年)年賀状」
  3. 教養

    第59回 『偏屈のすすめ。』 (著・フランソワ-ポール・ジュルヌ)
  4. マネジメント

    朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年8月21日号)
  5. キーワード

    第11回 掘り起こせ!「昔取った杵柄マーケット」 ~「灯台下暗し」で商機を見失...
keyboard_arrow_up