「これからはC型です」
決して、新種のコロナではありません。私が以前から強く勧めている「即時償却」のことです。
即時償却とは、投資した初年度に、機械や備品などの投資額を、すべて減価償却できる、という制度です。
キャッシュフロー経営の観点からは、必要な経費は、できるだけ早く、大きく計上したほうがよいです。
この意味で、即時償却という制度は、キャッシュフロー経営の申し子といえるのです。
この即時償却は、来年3月まで使うことができますが、
昨今のコロナ対策で、従来の
A型 生産性向上設備
B型 収益力強化設備
に加えて、「C型 デジタル化設備」というものができています。
今回は、このC型がテーマです。
このC型は、結構使いみちがありますし、使うことのハードルは低いのですが、残念ながら、まだなかなか使われていないのが現状です。
なぜでしょうか?
1.経営者がC型の存在を知らない
2.税理士からもC型の情報が教えてもらえない
3.C型の存在を知っていても、「難しそうだ」と思って、やらない(アレルギー)
私から言わせれば、このC型は、B型のような面倒さはなく、使い勝手のよい制度です。
もちろん多少の手間は必要ですが、手間を嫌がっていたら何もできません。
しかも、C型への投資は、これから中小企業が目指すべき経営方針、
「ヒトに頼らずにITやシステムで稼ぎなさい」
という方針にも見事にマッチしています。
C型というのは、主にはIT、システムへの設備投資を指します。
以下の①~③のどれかを実現するための投資であれば、即時償却の対象に出来てしまいます。
①離れても操作できるための投資(遠隔操作)
投資した結果、人が面と向かい合わずに仕事ができるようになること、離れた場所から仕事ができるようになれば、OKです。
②これまで見えなかったデータ等を見えるようするための投資(可視化)
データの集約・分析をするための投資であればOKです。
③人の手によらず、コンピュータ等で機械等をコントロールできるようにするための投資(自動制御化)
いわゆる「三密」を避けるための投資、でもありますね。
金額は70万円以上で、投資した結果、先ほどの①~③のいずれかを満たすことを、所定用紙に記入し、所轄の経済産業局に提出して、承認をもらうことです。
そして、そのうえで、「中小企業経営力向上計画」という別の書類を作成して、この承認をもらう必要があります。
弊社の顧問先では、これまで10件ほどC型のお手伝いをしてきました。
・在庫管理システム
・請求管理システム
・受注管理システム
いわゆるシステムという名がつくものは、C型申請で通ってしまいます。
何億円もする基幹システムも、C型で通すことが可能です。
下記は、在庫管理システムに関するやりとりです。
「そういえば、今度、在庫管理のシステムを入れるんですよね?どんな内容なのか、もう少し詳しく教えてもらえませんか?金額は、いくらくらいですか??」
「はい、いまある在庫管理システムに、在庫の受発注に関する機能を追加する、というものです。だいたい2000万円くらいですかね。本来であれば、即時償却を使いたいのですが、今回の投資は、改修投資なので、A型の証明書も出ませんし、B型も使えないと聞いています。」
「今回の投資は、遠隔操作とか、可視化とか、自動制御化、いうものに当てはまりませんか?」
「うーん、そんなたいそうな投資じゃないですよ。出荷指示書を書面でなくて、データ上で行える、といった類のものです。どちらかといえば、ペーパーレスに主眼を置いたものです。先ほどの条件に当てはまるものでしょうか?」
「まぁ、それはそれで、ある意味で、“可視化”といえるかもしれません。とりあえず、こじつけで、作文してみますよ。これで通れば儲けもの、ということでいきましょう。」
ということで、現場の方から少し説明を聞いて、文章を作成して、経産局に提出したところ、すんなりと承認が通ったのです。
こういう制度は、使ったもの勝ちです。ぜひとも、C型の即時償却を実行してください。
C型は、経営的にも、財務的にも、強くお勧めします。