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人事・労務

第7話 試用期間とその間の給料

「賃金の誤解」

  面接試験や筆記試験を経て、これはと思う新人の採用を決めました。この採用に際しての試用期間とその間の給料を考えて見ましょう。
 
 労働基準法(第21条)が定める試用期間は2週間ですが、多くの会社は人事政策上の必要から、試用期間を3ヵ月ほどに定めて、その間は正規の 従業員と区別して取扱っているのが通例です。
 
 「試用期間は3ヶ月では短すぎる。仕事ができるかどうかを見極めるには、試用期間1年は必要です」。と、ある社長が真顔で言われました。この 社長の考えを皆さんはどのように思われるでしょうか。
 
 「慎重に見極めること自体は決して悪いことではありません。しかし1年の試用期間は長すぎませんか」とお尋ねしました。すると「ロクな応募者 が来ないから」がその答えであり、試用期間1年の根拠だったようです。 
 
 採用選考で大切なことがあります。それは応募者も人であり、会社あるいは社長を厳しい目で評価しており、会社を選ぶ権利があると言うことで す。
 
 本気でその仕事に向いているひとかどうかを見極めようと思えば1ヶ月ほどで分かるでしょうし、3ヶ月くらいで結論を出してあげるべきではない でしょうか。結論を先延ばしすれば、断わられるのが道理です。
 
 たとえ、目を見張るほどの優秀者の採用は無理だとしても、少しでも優秀な社員を逃がしたくないと思うのであれば、結論は早く出すべきで す。
 
 さらに社長はおっしゃいました。「試用期間中はほどほどの金額に抑えておいて一応仕事をしてもらう。よくできるようであれば、1年後の正社員 登用時に思い切って見直します」。試用期間中の初任給を低めに抑えているとのことでした。
 
 しかし、優秀な人材をTPOに採用したい。少しでも優秀な人材が欲しいなら、それなりの金額をはじめから提示すべきであり、より良い人材に会 社を選んでもらうためにも試用期間中だからと給料を安く抑えて、良ければ増やすなどという歯切れの悪い条件提示は慎むべきでしょう。
 

 経営者の中には「中途採用だから」と半ばあきらめている方もおられますが、それでも中途採用は必要と言うのであれば、これはと決めた採用者に は試用期間中から期待にふさわしい初任給はきちんと出すべきです。
 
 加えて登用後の処遇について、賃金制度・評価制度の良さをきちんと説明して、安心して仕事に励める職場であることをおおいにPRすべきです。

 

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