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人間学・古典

第28講 「言志四録その28」
静を好み動を厭うを懦という。懦は事を了するを能わず。動を好み静を厭うを躁という。躁は物を鎮むるを能わず。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
静を好み動を厭う者を臆病者という。臆病者は物事を成し遂げることはできない。
動を好み静を厭う者を軽躁者(あわて者)という。軽躁者は物事を鎮めることはできない。


【解説】
学問の実践力を、知識・見識・肝識・徳識の四段階に区別してみます。
知識は、単なる記憶です。見識は、知識に“かくあるべし”の選択眼が伴ったものです。
肝識は、見識に肝勇による実践力が伴ったものですが、反対意見も抑えて事を成すので
人の怨みを買うこともあり、成果の持続に不安が残ります。
徳識は、人徳により周りの自然協力により事が成るので、無理がなく成果も持続します。


掲句前半の「臆病者」とは、肝識者の逆を説くものです。
この句は臆病の克服法までは述べていませんが、名句名言も完全ではありませんから、
学ぶ側も不足する部分を自ら補ってやろうという気持ちが大事です。
この気持ちが不足しますと無意識のうちに「名言の下請け解釈人」となってしまいます。

臆病克服法の名言としては、同じ言志四録に

  「胸次清快ならば、人事百艱亦阻せず(胸中が清々しければ、世の中のどんな困難も乗り越えることができる)」、
  「急迫は事を破り、寧対は事をなす(急ぎ慌てて対処すれば失敗し、心を静めて穏やかに対処すれば成功する)」

などがあります。このように対処法の核心をズ バリ突いた名言は、名言中の名言といえます。


掲句後半の「軽躁者」とは、落ち着きがなくそわそわする者です。
こういう人は周りの人から信頼されません。
せわしい動きの割には肝腎な時に役に立たないからです。
躁鬱病は一種のノイローゼですが、誰でも長い人生のリズムの中にも、落ち着かない躁の時と塞ぎこむ鬱の時があります。
できる限り「慎独静坐」を心掛け、自分を静かに看詰める時間を設けたいものです。


「慎独静坐」を禅宗では坐禅といいますが、宗教嫌いの人は「慎独瞑想法」「慎独呼吸法」と捉えてもよいかもしれません。
「慎独静坐」は難しいことではありません。独り静かに坐して「自然界の一微粒子」の自分を大自然の中に味わうことです。

早朝の起床後、通勤電車、就寝前の寝床などにするのが適当です。
呼吸を10回ずつ数える「数息観」、壁に画鋲を刺し凝視する法、更には
駅のホームなどの衆人監視の中での「慎独静立?」も意外に効果的です。
仰々しく考えないで日常生活の中で工夫すれば、次第に「自然界の一微粒子としての気迫」が充満してきます。
また年に数回は、自然界が満ち満ちている大海に面した砂浜などでの「慎独静坐」も効果的です。
私も若い頃は浜松市の南側にある中田島砂丘で坐禅をしまし た。
太平洋に面した世界一広い「波打ち際の道場」でしたが、格別の感がありました。


リンカーン大統領が「顔が気に入らないから不採用・・」と言われたようですが、
年代相応の「修行顔相」は自ら鍛錬により彫刻したいものです

 
杉山巌海

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