顧客対応力を高める
株式会社幸泉は三重県鈴鹿市にある外構・造園会社です。
同社が受注する工事の7割以上は、
お客からの紹介もしくはリピート受注によるものです。
その取り組みを第二十二話の続きを紹介しましょう。
売る必要も売り込む必要もない。
選ばれる職人を育てれば、お客は会社を選んでくれる。
職人さんを交えて月2回のミーティング
社長が出した経営目標を早く達成するためには、
戦術力を強くしなければなりません。
お客さまと直接接する部分を強化することです。
このときに欠かせないのが、社員の教育です。
会社全体で実行するのが顧客対策になります。
お客さまに「嫌な思い」をさせて、嫌われ、
あの会社から買うのは二度とやめようと
思われないようにすることが最重要課題です。
幸泉は、田中さんが入社して3年目から毎月
ミーティングをすることになりました。
しかも月2回です。
1つめのミーティングは、お客さまに不便をかけたり、
二度手間を掛けているところを見つけて直すことに
焦点を絞りました。
田中さんは
「造園、建設、土木関係の仕事は、どうしても不具合が発生したり、
その不具合がお客さんの不満やクレームに
発展したりすることがあります。
不具合やクレームは日が経つと忘れてしまうので、
繰り返さず、なおかつ風化させないためにも
社内ミーティングでテーマにあげました。
現場の状況を写真に撮り、どうすれば予防できるか、
どうすれば解決できるかをみんなで話し合うようにしました。
ミーティングでは、とにかく初歩的に問題があるところを
先に直すのが何より大事だと考えています。」といい、
お客さまと「直接接触するところ」を総点検し、
お客さまに「二度手間をかけているところ」を見つけ出して、
継続的に直していきました。
また、マイナス面だけではなく、
お客さまアンケートで頂いた嬉しい声を披露したり、
マナー面で向上した点をほめたりもしました。
人はだれでも、自分の良いところを他人に認めてもらいたい
という自尊本能を持っています。
生活が豊かになればなるほどそのウェイトは高まりますから、
自分の良いところを認めてくれたり、良い仕事をしたときに
それを正しく評価されると、うれしくなるものです。
しかも、評価してくれた相手に対する信頼感が強まりますから、
その人が何か必要になったときは、積極的に協力してくれるようになります。
2つめのミーティングは、社外の人も交えたミーティングです。
メーカーの営業社員を講師に招いて勉強するスタイルが
大きな成果をもたらしました。
重機の操作には慣れていても、グリスのさしかたなど
メンテナンスの知識は今ひとつだったりします。
なんとなくわかっていることを基本に立ち返って学ぶ。
各分野の専門家、プロから学ぶ。
これらの2つのミーティングを重ねることで、
他社との差別化が顕著になり、
幸泉の優位性はめきめき向上したのです。
全社員がお客中心の考えで仕事をすることと、
専門分野で力を発揮すれば、全体として最高の結果を出せるのです。
シンプルだけど、継続的に取り組むことが大事なのです。