menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第75話 会社が破たんする原因は資産にある(4)

あなたの会社と資産を守る一手

貸借対照表を見ると左側に資産、右側に負債が記載されています。そして右側には純資産も書かれていますが、この純資産の定義は明確とはいいがたく「資産と負債の差額」と説明されています。
この点からわかるように貸借対照表では資産と負債がメインになります。
 
今回は債務超過について書いてみます。まず「債務超過」とは資産の総額より負債の総額のほうが多い状態です。つまり、資産をすべて売却したとしても負債のほうが残ってしまうということです。おカネを貸す側にしてみればリスキーな状態であることがわかると思います。債務超過は資産と負債のバランスを図で示すとわかりやすくなります↓
 
itte75_01.jpg
上の図では5,000万円の債務超過です。この部分が今までの損失の蓄積なのですが、資産の中身を精査することで債務超過の金額は増減します。一般的に言って債務超過額が増えるケースがほとんどなのですが、それは資産の評価のしかたに起因しています。
 
たとえば上の図で資産勘定7,000万円のうち商品が3,000万円と記載されていたとしても、多くは最終仕入原価法(注1)での評価額であり実際の市場価値は大きく下がっているとか、不良在庫が含まれているとかで500万円の価値しかないとします。そうすると、さらに債務超過額は増えて5,000万円+(3,000万円-500万円)=7,500万円にもなってしまいます。
 
こんなふうに資産勘定の数字は必ずしも正しいものではなく、資産の正しい評価をしないと見えてこないものです。
 
ところが、これに対して負債のほうの数字はある程度信頼できるものです。
ここである程度と言ったのはオフバランス取引などがあるからですが、オフバランス取引も最近は情報公開されてわかりやすいようになりました。では、なぜ負債の数字を「ある程度信頼できる」と書いたかというと、「借入金の延滞リスク」というものがあるからです。
 
この言葉は聞きなれない言葉だと思います。中小企業の企業再生のじっさいにおいてはいやというほど目にすることなのですが、これによって負債の金額も貸借対照表の数字より大きく増えることになります。
 
借入金の返済金額は一般的には元金と利息ですが、その借入金の返済が延滞したら、期限の利益喪失になり、一括返済となります。そして一括返済の全元本に対して、15%とか18.25%、19%とかの遅延損害金がかかってきます。これが「借入金の延滞リスク」です。
 
この利率を見てわかるように、1.7%や2%で借りていた借入金の返済がいっきに高利の借入に変身し、負債が増えるわけです。
 
企業を買収するときなど、単純に財務だけを見るのではなく、この「借入金の延滞リスク」を考慮して、延滞しているかどうかもちゃんと確認しないとたいへんなことになります。

(注1)最終仕入原価法:
 
最終仕入原価法とは、棚卸資産の評価、費用化の方法のひとつで、評価費用化の時点ごとに直前に仕入れた棚卸資産の単価を活用して、原価の計算や棚卸資産の評価を行う方法。
最終取得原価法と呼ばれることもある。
 
最後に仕入れた棚卸資産の単価を、最後に仕入れた棚卸資産ではない資産に対しても用いる。
 
以上BuzzWordsより引用

 

第74話 会社が破たんする原因は資産にある(3)前のページ

第76話 会社が破たんする原因は資産にある(5)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第3話 利益率を上げるビジネスモデル

  2. 第121話 経営とリスク(6)

  3. 第113話 税金を滞納するとどうなるのか?(3)

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年5月1日号) 

  2. 第59回「始まりと終わり」

  3. 「日本版」はどう進展するのか?

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 税務・会計

    第2号 会社と個人のバランスをどう取ればいいか
  2. 教養

    第123回『ヒクソン・グレイシー自伝』(著:ヒクソン・グレイシー、ピーター・マグ...
  3. 戦略・戦術

    第1話  「原材料価格の値上げに対処せよ」
  4. 仕事術

    第88回「VR/ARに続くMRとは?」
  5. 教養

    第7回 『八十日間世界一周』(ジュール・ヴェルヌ 著)
keyboard_arrow_up