menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第98話 中小企業の事業承継

あなたの会社と資産を守る一手

最近、 大廃業時代という言葉で、後継者がいない中小企業の大幅増加について話題になることがあります。それに関係して
平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わりました。

その事実だけ知ってはいましたが、 今回、TKC全国会の平成30年4月新設、事業承継税制Q&Aが送られてきたので早速読んでみました。

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいうわけで、国税庁のホームページに事業承継税制特集があり、今回の改正についてもわかりやすく書いてあります(国税庁のホームページ事業承継税制特集

平成30年4月1日からの事業承継税制改正を簡単に書くと、
中小企業であれば、一部の業態を除いてその株式の贈与・相続にかかる税金が100%猶予されるというもので、平成30年4月1日から35年3月31日までに「特例承認計画」を都道府県に提出→税務署への届出という手続をへて事業承継に係る株式の後継者への贈与・相続の税負担が実質0円として猶予されるというものです。
もちろんさまざまな条件や必要な手続はあるわけですが。


資産超過で黒字会社。具体的に言えば株式価値が5千万円以上の事業承継ならこの制度は十分に役に立つと思われます。


例をあげて書けば、年間売上4億円で現金・預金は5,000万円程度だが所有不動産である工場が時価2億円 でどうみても2億円近くの資産超過、会社の株式価値もそれ以上であると考えられた場合、
事業を後継者が承継し株式が譲渡されれば、相続なら数千万円から1億円超の税金が承継者に課税されるわけです。

このような場合はこの制度を利用して事業承継をしたほうのが、てまひまを考えても得と思われます。

しかしながら、中小企業の事業承継では、債権者である銀行からの借入の保証債務も引き継ぐことを要請され、そのことも考えて承継するかどうかが決まると考えられます。

図で描くと下記のイメージで考えていただければよいかと思います。

itte98_1.gif


それではこの税制が十分に役に立つ会社とはどんな会社かというと、

後継者がいることを前提として、黒字、大幅な資産超過。5千万円以上の株式の価値があり、銀行借入がないか、あっても月商の2~3か月程度の中小企業ということになります。


過去の金融機関での経験からいえば、その条件に当てはまる企業というのは
よくて40~50社に1社、最悪500社に1社の割合だと思います。

この制度によってほんの一部の企業の廃業は防げますが、
大廃業時代を防ぐことはできないと思います。
アメリカのように相続税の基礎控除が高く、さらに事業承継の優遇を与えるのが本筋だと思うのですが、日本の政策立案と企業をとりまく環境ではこれが限界なのだと思います。

第97話 中小企業の粉飾決算(3)前のページ

第99話 中小企業の事業承継(2)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第131話 経営とリスク(16)

  2. 第27話 フレキシビリティー(柔軟性)、経営のあらゆる場面で必要なもの

  3. 第1話 社長が知らねばならない資産防衛

最新の経営コラム

  1. 第107回 書類のデジタル化で仕事を見える化し、効率化とミス削減を実現

  2. 国のかたち、組織のかたち(25) アテネ民主政の再生

  3. 第82回『最近言われるマイクロストレスを知り、生産性を上げる』~組織の生産性を落とさないための隠れストレスを経営者は知っておく~

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 戦略・戦術

    第110話 「私は声高に売上!売上!とは申しません」
  2. 戦略・戦術

    第152話 「ホームページの採用情報を充実させなさい」
  3. マネジメント

    第79回 『わかるはず』
  4. 経済・株式・資産

    第90話 中国の「為替操作国」認定はあり得るか?
  5. 人間学・古典

    第13回 「相撲道から学ぶ」
keyboard_arrow_up