■NVIDIA(エヌビディア)
日本経営合理化協会のシリコンバレー視察ツアーで訪問した「NVIDIA(エヌビディア)」は、今年最も注目されている企業で、株価も年初来で180%余り上昇し、「AI関連銘柄」の牽引役となっている。
NVIDIAは当初はゲーム機用にグラフィックチップ(GPU)を制作、GPU(Graphics Processing Unit)はコンピュータゲームなどで利用されるリアルタイム画像処理に特化した演算装置だ。
その後、ビットコインのマイニング(最初に演算結果を出したところだけに支払われる仕組み)に使われ、2022年からはAI用のチップとして注目されている。
今回の訪問で、パソコンの頭脳とされるCPUとGPUを比較したデモを見たが、花を認識する画像処理スピードは人間だと1分で2〜3個、CPUだと5個/秒に対して、GPUは12,000個/秒と圧倒的に早く、結果をすぐに必要とするAIチャットなどでも中心的役割を果たすチップとなっている。
「2022年11月のchatGPTの登場は、2007年のiPhoneの登場と同じく画期的なもの」と言っていたが、ジェネレイティブ(生成)AIはまず「学習」し、そのデータを「分析」、結果を「予測」するという3つのステップが根幹で、それぞれのステップを進化させるために「ディープラーニング(深層学習)」という手法がとられている。
ChatGPTなどはこれまでにない大規模なデータで学習し、それを分析しており、入力された文脈を理解して予測するだけでなく、「新しいコンテンツ」を生成している。
画像を高速化するNVIDIAのGPUは、並列コンピューティング、デジタルツイン、ロボット、医療(ヘルスケア)、メタバースなどにも使われており、NVIDIAのスーパーコンピュータは消費電力が低く、パワーがあり、「一番サステナブル(Sustainable=持続可能)なスーパーコンピュータ」とも言っていた。
■デジタルツイン
今回、自動運転の街中シミュレーション、地球シミュレータ(Earth-2)、工場や倉庫、ロボットロボットのシミュレーションなど、「デジタルツイン」分野のデモで見せてもらった。
「デジタルツイン」は現実で動いている工場や倉庫などと同じものをデジタル上に構築して、リアルタイムに同期することにより、問題解決、予想、改良点などを見つけだすのに有効で、倉庫ではアマゾン、車ではベンツ、工場ではBMWなどが使っている。
災害現場の把握でも、火災現場の検証は人間がやると1週間かかるものが、学習されたAIは7秒でできるし、ビール工場では凹んでいる缶を見つけ出す検品にも使われている。
AIブームにより各社からGPUの要望が殺到しており、先日テスラに3万5,000個を出荷したところ、さらに3万5,000個のオーダーが入ったが、1社に特別に供給はせず、全てのパートナーに平均的に出荷している。
宇宙、重要な科学研究などにはすぐに出しているが、それ以外は6ヶ月待ちの状態だ。
この状況に競合各社もGPUの開発を行っているが、この2年間に3,500億ドルを投資して研究開発しているため、現時点では圧倒的に差がある。
NVIDIAは今、世界で最も注目すべき企業の一つだ。
======== DATA =========
●NVIDIA
https://www.nvidia.com/ja-jp/
●地球シミュレータ・Earth-2
https://blogs.nvidia.co.jp/2021/11/18/earth-2-supercomputer/