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第151回「自動発注サービスからディマンド・チェーン・マネジメントへ 」シノプス

深読み企業分析

シノプスは需要予測型の自動発注サービスにおいて3年連続でシェアNO.1を獲得した企業である(デロイト トーマツミック経済研究所株式会社が2026年3月16日に発刊した調査レポートにおいて「需要予測ソフトウェアソリューションベンダー」の売上金額シェア1位。なお本調査では、2023年(実績)から2025年(見込)までの対象全期間でシェア1位を維持している。)。2024年度実績でシェアは約40%、2位が約20%で、それ以下は10%強となっている。

2026年3月末時点において、食品スーパー中心に同社の顧客数は121社、クラウド有償契約店舗数は3,317店舗である。

特に同社のサービスの強みは、賞味期限が短く管理が極めて難しい「日配品」、「惣菜」、「パン」などのカテゴリーにおいても高い予測精度を誇ることである。導入企業の平均値を取ると、日配品で15%、惣菜で5.4%のロス削減を実現している。つまり、同社の自動発注サービスを導入することで、単なる業務効率化に留まらず、利益率改善という経営課題に直結して解決できる点であり、その面から顧客の信頼度は高く、高シェアを獲得しているものと考えられる。

同社ではビジョンとして「世界中の無駄を10%削減する」を掲げて、在庫に関わる“人”、“もの”、“金”、“時間”、“情報”を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源
を有効活用することで、広く社会に貢献するとしている。現時点では食品小売業中心に需要予測型の自動発注サービスの提供が中心であるが、さらに範囲を広げて、流通三層である小売、卸売、メーカーの情報をつなぐことで、DeCM(ディマンド・チェーン・マネジメント)の実現を目指している。

これはつまり、小売業店頭の売上情報やその他さまざまな情報を組み合わせて需要を予測し、その情報を基に、卸売業の物流を最適化し、製造業における原材料や包装資材の生産計画を最適化するというものである。

同社では、この件に関して、伊藤忠商事、食品スーパーのハローズ(本社:広島県)と組み、経済産業省の「持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」において実証実験を実施し、今年3月にその成果を公表している。

実証実験自体の内容は、シノプスと伊藤忠商事が提供する食品バリューチェーン最適化プラットフォーム「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」を活用し、ハローズ店舗の需要予測を基にしたメーカーへの発注を行った。具体的にはハローズ店舗の需要予測、特売計画、センター在庫を加味し、卸からメーカーへの物流効率の最適な発注量を算出した。

こうして、納品曜日を削減し、配送車両を集約した。ただし、その時点で重要なことは、小売業の欠品率に悪影響を及ぼさない範囲で「物流効率」を優先した発注コントロールを行うことである。

その結果、メーカー物流におけるトラック積載率が24%向上し、配送台数の22%削減を実現している。このほか、対象商品におけるセンター在庫日数の低減などの成果が得られた。

なお、物流を効率化することで、小売業店頭に置いて欠品が起きるようでは本末転倒となる。しかし、ハローズのへの取材では、逆にこれによって、欠品率が改善したと述べており、当初の想定以上の成果が得られていると言えよう。

有賀の眼

シノプスはAIを活用した高精度な需要予測から在庫削減、そして自動発注サービスへと守備範囲を広げてきた。これらは「世界中の無駄を10%削減する」を目指すものであるが、さらにはAIによる需要予測に基づき、精肉の消費期限に応じたダイナミックプライシングにも取り組むなど、様々な形で食品ロス削減への貢献を目指している。

そして、さらには小売業店頭から、DeCMによって川上までさかのぼって、無駄をなくす取り組みを進めている。

まさに、今の時代にマッチした企業であり、その中にあって、AIを縦横無尽に操ることでそれを成し遂げようとしているわけである。こういった取り組みは、一見、大上段から行われることで効率化が進むように見られることがあるが、実際は小さな工夫の積み上げによって達成されるものである。

その意味で、同社が30年かけて取り組んできたことが、ようやく日の目を見るようになってきたと言え、今後の展開が楽しみである。

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