今回紹介する『Milky Way』の熊谷さんとお電話で事情を伺っていて、とても大変そうだったが、なぜだか「なんとかなるな」と言う手ごたえがあった。早速、スケジュールの空き具合を見てすぐに福岡までの旅を手配した。
熊谷さんから店の概況を聞いて、この店が苦戦している理由がわかった。ひとつは、オムライスが評判になりオムライスのイメージが強くついてしまったことだ。そのため食事需要の店のイメージが強まり、徐々にパスタ、ピザなどに広げ、お酒を飲む比率を下げてしまったことがわかった。
もうひとつが、立地はいいがセットバックした物件のために、集客するための媒体が必要となるのに、ぐるなびなどのメディアをやめてしまったことだ。新規客に知らしめるきっかけがなければ、持ち客を回すことになり、先細りする。 メディアを使っていて新規客の来店はあったが、費用がかさんだのでやめたとのこと。これがより苦戦していった理由だが、メディアの費用対効果とお客様が増えていないことは分けて考えるべきである。しかし、このためにワインにこだわっているように見えなければならない。ソムリエがいないこの店でできるのか…そして、考え出したのが、ワインはフランス産のみという路線だ。そして、どのワインも500円~700円引きで500ccのカラフェで提供できるようにして、目の前で抜栓して提供するようにした。
また、料理もワインビストロにふさわしいとんがりを出すため、看板商品にはフォアグラ串を入れ、フレンチテイストの洋風串を一つの切り口にして、ワインのあてになるビストロ料理の前菜を入れた。そして、オムライスで〆るという流れを作った。店側もコースの〆にはデカメニューとなる“お祭りステーキ”を考案してくれた。さらには、ぐるなびには思い切って以前以上にお金をかけ、メディアの入口を増やして、一等地に面していて雰囲気がいいという宴会需要に応えられる店づくりをした。そして、店はどんどん良くなったようだ。まさに奇跡の復活。
一年後、店にお客さんと食事に出かけたが、オムライスのデミグラスソースがパワーアップしておいしくなっていた。聞けば、牛筋の量を増やしたそうだ。さらに、「今年の12月は1000万円を目指します!」とのこと。そのひとことがとても嬉しかった。
店の強みを時代に合わせてどうブラッシュアップするか、その大切さを再認識した出会いであった。



















