二十四節気が寒露のころ『山ばな平八茶屋』を訪問しました。
まずは「食べログ」の『山ばな平八茶屋』の紹介文から。
若狭街道(鯖街道)(現:川端通り)の街道茶屋として創業したのが、天正年間、安土桃山時代。 通りに面した騎牛門をくぐるり、石畳を通って中にお進みいただくと、回遊式の庭園が広がります。 約600坪の庭園には、季節ごとに四季折々の花が咲き、庭伝いには大小の座敷が点在しております。高野川の水面を眺めながら、ひとときのお食事をお楽しみいただけます。
バスで『山ばな平八茶屋』に到着して、紹介文にあった騎牛門をくぐります。
昨年は9月に訪問して、まだ暑かったので、今年は寒露のタイミングにしてみました。それでも、『山ばな平八茶屋』の紅葉は11月下旬ころのようです。しかしながら、お庭の銀木犀が満開で、そばにある金木犀のつぼみが順番待ちをしております。
まずは、名物の「かま風呂」に入ります。
かま風呂は壬申の乱(じんしんのらん) の折、大海人皇子(おおあまのおうじ : 後の天武天皇)が矢傷を負い八瀬(やせ) の里に逃げ隠れられたとき、村人たちが土のむろを造り、それを温め治療したと伝えられているそうで、かまぶろ内の温度は摂氏55~60℃、湿気のある和風サウナです。(『山ばな平八茶屋』のHPより)
お風呂に入っているとあっという間に食事の時間が近づき、お食事のお部屋へ。
本日の宿泊プランは税サ込55,000円と税サ込77,000円のどちらにするかということで、料理の素材の違いということなので税サ込55,000円にいたしました。
まずは、先付の「松茸と水菜のお浸し」と向付が提供されました。向付けは「真鯛のお造り」で、脂ののった旬の真鯛は好みの〆加減でとても美味しいです。
松茸の土瓶蒸し
まずはお出しを。香りよく美味しいです。
土瓶の蓋を開けてのぞくと、松茸がたっぷり半本入っていて、鱧と鮮やかな色の車海老が入っています。
いわば脇役の海老にも車海老を使いながらも、それも、大げさな説明もない。『山ばな平八茶屋』らしいですね。
籠の器で八寸
SNSの投稿に日本料理アカデミーのイベントを見したが、この料理を見たように記憶しています。
毬栗。そばで毬栗に見立てています。
卵黄と昆布で柿に見立ています。
鯖の小袖寿司
紅葉の人参とむかご
たたき牛蒡
酢橘の器にはいかと魚卵(多分たらこだと思いますが、着色した鱧子だったりして)
ぐじの若狭焼き
平八茶屋の名物ですね。
ぱりっと鱗を立てずに見事に焼かれています。ちなみに、鱗が立つといわば失敗ということで『山ばな平八茶屋』では焼き直しとなるようです。
炊き合わせ
これは蒸しものでしょうか。銀餡がかかった蕪で、湯葉、むかご、銀杏、紅葉麩、車海老、人参が入っています。蕪が美味しい。こんな感じに炊けたらいいな。生姜の香りよく、しっぽりとします。
ぐじの酒蒸し
若狭焼きも好きだけど、酒蒸しはさらに好きです。これは美味しい。
酢のもの
貝柱ととり貝。蛇腹胡瓜がおいしいです。
お食事は、麦とろご飯です。
麦とろご飯は麦のつぶつぶ感が増した印象です。
水菓子
シャインマスカット、梨、柿、メロン。
現当主の晋吾さんになられて、十年くらいになると思いますが、晋吾さんらしさがお料理に現れていますね。晋吾さんと話をしなくて、晋吾さんと会話しているようであり、とても楽しく時間が過ぎました。
派手さはないですが、一品一品丁寧に料理されていて、大変おいしくいただきました。
京都の料理屋は高級食材をつかってわかりやすい店が増えましたが、京都の歴史とその季節の風を感じながら食事ができる希有な店だと思います。
山ばな平八茶屋
〒606-8005 京都府京都市左京区山端川岸町8−1
電話 075-781-5008