(兵庫県)
今回は、そんな関西の注目の若手経営者の一人、梅村雄士さんの会社株式会社オベーション・プラスが展開する『バルザル(Bar S”alu)』を紹介することにしよう。
阪急神戸線沿線の岡本駅に新しいお店がオープンしたという知らせがあった折、合理化協会セミナーが神戸で開催され、前泊することになったので、訪問することに。
初めての『バルザル』。“岡本駅”からすぐの路地に入ると、間口いっぱいに張り出した黄色とグリーンの印象的なテントが目立つ店舗がある。『バルザル』だ。
このファサードの作りがうまい。色合いがとても興味を引く上、明るさにひかれてふらっと入ってみたくなる気軽さがあり、とても入りやすい。
しかし、それでいて、店内の印象が落ち着いており、隠れ家的な雰囲気がある。この絶妙なバランスがいい。『俺のイタリアン』のある銀座や梅田のような大都会ではインパクトのある外観で明るく活気のある店づくりが功を奏す場合が多いが、ここは急行が停車するとは言え、ローカルな関西の駅。サービスや空間づくりで活気を出し過ぎるのは利用頻度が上がらず危険だ。そして、同じ見込客の利用動機が広くとれる必要がある。
そのためには、入りやすいながらもおちついた雰囲気がなければならない。そのバランスを兼ね備えているのがまさに『バルザル』だ。
入口を入るとオープンキッチンが目立つが、その前に、活気がありながらも、落ち着いた止まり木のようなカウンターがある。ひとりでもふらっと入りやすい雰囲気が出ている。
そして、このカウンターは機能的で、カウンターの上に赤のボードがあり、ランチ、メニューや名物メニューなどのインフォメーションがディスプレーをかねて表現されている。暗黙のうちに利用シーンの広さを伝えている。
そして、会社帰りの仕事仲間や学生なら友達とふらっと立ち寄りたくなるのがテーブル席だ。レイアウトや家具の選定がよく、様々な利用シーンにかなうことをぱっと見で伝えている。
この雰囲気づくりに一役かっているが照明の演出だ。照度が店内の仕上げ素材や配色と調和して気軽さと落ち着き感をうまく出している。
このようなスモールマーケットでやっていけてこそ店舗展開の市場性があると言えるだろう。仮にIPOした後でも出店の余地は無限にある。
ただ、街中にありがちなワインバーと異なるのはメニューにおける絶妙な一ひねりがあることだ。
捻りはさじ加減。このひねりこそ、来店時、利用後の余韻を引き出す。
しかし、この捻りは両刃の八重歯、危険との背中合わせだ。つまり、ディレクションが上手な一部のものに許される技なのだ。梅村さん自身にこのセンスがあるのかはわからないが、絶妙なさじ加減がある。これがパッケージとして店舗展開に結び付けているように思う。
兵庫県神戸市東灘区岡本1-12-17 ティアラ岡本 1
電話 078-855-4136