(京都府)
飲食店の商圏は大きく分けると、「足元商圏」、「週末商圏」、「ファンタジスタ商圏」の三つになる。日々の食欲などニーズ満たす場合、近場にある足元商圏の店を利用するだろう。移動距離にして5分。立地環境に恵まれ、競合がなければ手堅い商売になる。
週末、月末、期末など日常生活にない時間を過ごす店が週末商圏である。目的によるが20~30分くらいまでの移動時間をかける。
そして、わざわざその店のために時間を作り、予約する店。時に、休暇を取ってまで行く価値がある店がファンタジスタ商圏である。
情報の大衆化の時代、ファンタジスタになるチャンスは限りなく増えたが、今日はその店を紹介しよう。
私がこの仕事を初めて、関西を訪れると「関東の筍はおいしくない」と耳にした。
最近では、東京でも筍を刺身で提供する店が増えたが、「関西の筍がそんなにおいしいものか」と最初は思っていた。しかし、京都で仕事をするようになり、その考えも変わっていった。
しかし、春に少しずつ筍料理を食べながら、京都の有名な産地の筍の話を聞いて、うなずけるようになった。
京都の筍の産地では土を掘り返してふかふかにしてある。そして、栄養を与えている。
言わば竹やぶではなく、畑だ。この手間のかかった柔らかく栄養のある畑で作るからこそ、和らかく、甘味のある筍ができる。
ちなみに、今ではこの作り方は鹿児島などの産地でも採用され、全国からおいしい筍が出荷されている。
その『錦水亭』、なかなか春の筍シーズンにタイミングが合わなかったが、ようやく訪問の機会に恵まれた。せっかくの機会、ファンタジスタの店づくりについて研究しようと思った。
最後に、他にない料理であることだろう。
『錦水亭』の他にない料理は、なんと言っても筍のフルコースだろう。
前菜の田楽やあえ物から始まり、刺身、そして、いわばメインの煮物がくる。その後、醤油の香ばしい焼き筍、蒸し物、天ぷら、そして筍ご飯と吸い物と続く。京都の料理人が自慢するだけあって、食べごたえがある。
京都府長岡京市天神2-15-15
電話 075-951-5151