三国干渉の話に戻る。
「日本と戦えば負ける」と強く自覚していた李鴻章は、
中国での経済利権を貪る列強が、
清国の外交担当部署である総理衙門(そうりがもん)
あえて、列強の干渉を引き出す戦略に出た。「
反応は直ちに現れる。米国が講和仲介に動く。一方、英国は、仏、
日本と同じく中国進出で出遅れていた伊、
カギを握るのは、鉄血宰相ビスマルクの独だった。
干渉をリードしていた英国も、各国の足並みが揃わないのと、
情勢は複雑だったが、日本の首相・伊藤博文も外相・
講和談判で、李はのらりくらりと時間を稼ぐ。この間、
駐独公使から「
露仏独の三国は、
李鴻章は、相撲(戦争)に負け、勝負(外交戦)
しかし、この外交勝負、一時の勝利でしかないことを、
(書き手)宇惠一郎 ueichi@nifty.com
参考文献
『李鴻章―東アジアの近代』岡本隆司著 岩波新書
『日清戦争』大谷正著 中公新書
『新訂 蹇蹇録』陸奥宗光著 岩波文庫
『氷川清話』勝海舟著 江藤淳・松浦玲編 講談社学術文庫
『日本の歴史22 大日本帝国の試煉』隅谷三喜男著 中公文庫