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不動産

第68回 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い

売れる住宅を創る 100の視点

今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第2項目である『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』に関してのお話を致します。

前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムでは25項目用意致し、その第1項目の『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』の御説明を致しました。
 
今回はその第2項目で分譲マンションのハード面の良し悪しに依って特に売主の会社の「 モノづくり 」に対する姿勢が問われ、克評価される建物の耐久性や耐震性に関してとても重要性である事を認識して戴く為に『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』という内容を、皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も建築家としての私が最も得意とする「 モノづくり 」における重要な「 こだわり 」の御説明であります。
 
今回も、分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を製造・販売しているか否かが購入者にとって特に価値判断基準になりますので、私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
いつも、このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向を見ますと、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さと数字のみに頼って分譲マンション等を企画し販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んでいます。
 
販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いては現在かなり苦戦を強いられて売れ残り住戸がかなり多いのが現状なのです。その様なディベロッパーは資金の回収がうまく行かずに「 ドボン 」( 倒産又は破産 )しかねませんので、早く体質改善をして良い商品づくりのマンション分譲をする方向に進んで欲しいと願っております。
 
更に、不動産業界は資本主義の原点である「 弱肉強食 」で「 超大手、大手ディベの寡占化 」がどんどん進み、準大手ディベや中堅ディベが退場しています。準大手ディベや中堅ディベが、これらの会社と対等に勝負するには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事がとても大事です。その様にしなければ生き残れないでしょう。その様にされていれば顧客は購入意欲を起こし、入居後も問題が起きない良い商品を作る事ができるのです。
 
誠意が感じられ入居後も問題が起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、不動産業界や一般社会に於いて良い評判を立てる事が生き残る道です。それによって会社の信用度が高まれば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に楔( くさび )を打て、準大手ディベや中堅ディベも 超大手、大手ディベと対等に勝負できる会社になりえると確信しています。
 
そして、それを永遠に継続し、魅力的な良い商品作りをされていれば、 準大手ディベや中堅ディベは、一般社会でも会社名や「 ブランド 」名と知名度も上がり販売におおいに寄与致します。
 
ですので、いままでの私のコラムや今回のコラム68号『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』を参考に「 モノづくり 」を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと私は思います
 
「 継続は力なり 」です。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第2項目である『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』の内容は分譲マンションの商品企画・基本計画段階で建築構造の良さのバロメーターですのでとても重要な事なのです。特に今回の内容は売主の評価に多いにつながる事ですのでとても大切な事柄なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。
 
準大手ディベや中堅ディベの方々はこれから進める、分譲マンション等の商品企画・基本計画時点に於いて是非今回のコラム内容を良く理解して取り入れて下さい。今回のコラム内容は、最近販売されている新規分譲マンションの仕様の中で特に購入者( 入居者 )がかなりこだわりを持っている内容です。
 
そして、これも毎回申し上げていますが、分譲マンションの計画時点で一言申し上げておきます。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベや中堅ディベは、『 製販一体 』体制で絶対に行う事です。
 
分譲戸建や分譲マンション等の商品企画会議では製造部門と販売部門と一体になって戴きたいと思います。その理由は販売部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部門に伝え、その内容が良ければどんどん商品企画や商品内容等に反映できるからなのです。
 
更に、今回の『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』の具体的な理由が販売部隊の方々も良く理解でき顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きがいつも長く申し訳ございません。さて、本題である『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』をこれから具体的に御説明致します。
 
鉄筋コンクリート造のマンションや戸建てで竣工後に多いクレームは地震等に依る外壁へのクラック( 亀裂 )の発生です。
 
このクラックの発生を起きない様にする手段が今回のコラム『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』なのです。
 
最近、特に増えてきましたのがマンションの外壁の大部分が鉄筋コンクリート造ではなくALC版( 気泡軽量コンクリート版 )の採用です。
 
超高層( 高さ60m以上 )の建物であれば軽量化しなければならないので、外壁等にALC版の採用は止むを得ませんが、それ以下の高さの建物の外壁にALC版を採用しているのは購入者( 入居者 )無視の建築費用削減としか思えません。
 
ALC版は鉄筋では無く鉄線( 鋼線 )が入っている、コンクリートを泡立てて軽量化した板です。厳密に言えばこの板は鉄筋コンクリートとは言えないと思います。
 
耐久性や耐衝撃性はダブル配筋のコンクリート壁よりもかなり落ちます。ですのでマンションでこのALC版はバルコニー側と外廊下側の住戸の外壁にのみ用いており、妻側( 建物の両サイド側 )のバルコニーや外廊下等が無い所には用いておらず、耐久性の有るダブル配筋の鉄筋コンクリート壁を採用致しております。
 
こういうマンションは先程も申し上げた様に工事費削減の為に外壁にALC版を用いているとしか思えません。外壁にALC版の使用を正当化するので有れば、妻側壁だけはダブル配筋のコンクリート壁を採用するのか理解に苦しみます。
 
購入者( 入居者 )無視なのです。その証拠に超大手ディベや大手ディベが建てる「 高級マンション 」( 高額マンションではない )、俗に言われる本当の「 億ション 」の外壁の仕様は全て「 鉄筋コンクリート造ダブル配筋 」なのです。
 
また、公共建築物は高さ60メートル以下であれば全て外壁は「 鉄筋コンクリート造ダブル配筋 」なのです。
 
ALC版は工場で作成していますので、1枚の幅が90センチ~1メートル位です。ですので版と版の継ぎ目はコーキングを打っています。このコーキングが経年劣化や建物の揺れで切れますと雨水が浸入してきてクレームの対象になります。
 
ダブル配筋の鉄筋コンクリート壁仕様にしましたら横方向3メートル以内に誘発目地を設けて地震時にそこに割れが入る様にして下さい。そして、誘発目地にコーキングをして雨水の浸入を防いで下さい。その方が圧倒的に耐久性、耐震性に強いのです。
 
マンションをこれから計画する準大手ディベや中堅ディベの制作部門の方は建物の外壁全てが「 鉄筋コンクリート造ダブル配筋 」仕様にして下さい。先程申し上げた様に超大手ディベや大手ディベは最近ほとんどバルコニー側と外廊下側の住戸の外壁はALC版仕様で妻側の壁のみ「 鉄筋コンクリート造ダブル配筋 」仕様なのです。
 
そして、姑息にもパンフレットでは『 外壁:鉄筋コンクリート造ダブル配筋(一部ALC版) 』と書いてあります。本当は『 外壁:ALC版( 一部鉄筋コンクリート造ダブル配筋 ) 』と書くべきですので不動産業界内のまともな人達の間では評価が悪いのです。
 
購入予定者( 入居者 )はこの事にあまり関心がないのですので、準大手ディベや中堅ディベのマンションの建物の外壁は全て「 鉄筋コンクリート造ダブル配筋 」にして差別化を図り、ALC版との大きな違いを分かり易く説明して下さい。
 
その様にされれば、 購入予定者( 入居者 )は納得して、購入を決めてくれます。これも一つの大きなセールストークになりうると確信しております。
 
但し、地震の多い我が国では高さ60メートル以上の超高層マンションの外壁はALC版を用いるしか有りません。
 
私の独断と偏見になりますが最近日本全国のどこかで毎日地震が発生しておりますので、準大手ディベや中堅ディベは超高層マンションには手を出さない方がリスクが少なく賢明だと思います。
 
『 外壁は全て鉄筋コンクリート造でダブル配筋が良い 』は、これから新規分譲マンションを計画していますディベロッパーにとって商品企画内容の建築物の耐久性や耐震性を問われる個所ですので上記の御説明を役立てて下されば幸いです。
 
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣い及び将来問題が生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
但し、毎回注意していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事を肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第3項目である『 外階段は鉄筋コンクリート造が良い 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
 
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