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第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

中小企業の「1位づくり」戦略

こんにちは。1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。

展示会は、町工場が自社の技術や製品をアピールし、新しい顧客と出会う絶好の機会です。しかし、多くの企業が展示会後のフォローに課題を感じているのも事実です。そこで今回は、展示会後のフォローとして「工場見学を活用する仕組み」をつくり、価格競争から脱却した町工場の事例を交えて紹介します。


なぜ工場見学が効果的なのか?

展示会では、多くの企業が似たようなアプローチを行います。メールや電話、オンラインでの商談依頼が一般的ですが、それだけでは他社との差別化が難しい。ここで鍵となるのが、「工場見学を通じて顧客に体験をしてもらう」仕組みです。

<工場見学が生む3つの効果>

1. 品質と技術力を「体感」してもらえる
実際の現場を見ることで、自社の強みや独自性を視覚的に伝えることができます。

2. 信頼関係を築く機会になる
現場を開放することで、顧客に「透明性」と「誠実さ」を感じてもらえます。

3. 価格ではなく「価値」で選んでもらえる
製品の背景にある技術力や工程の丁寧さを知ることで、価格ではなく付加価値で評価されやすくなります。

 

事例紹介:永田製作所の工場見学ガイドマップ

東大阪の永田製作所は、展示会後のフォローで「工場見学」を積極的に活用しています。特に注目すべきは、「工場見学ガイドマップ」を作成し、見学者に価値を体感させる仕組みを構築した点です。

 

永田製作所の取り組み

1. 工場見学ガイドマップ
加工機や工程をテーマパークのように表現し、見学者にとってわかりやすい案内を実現。職人ごとの担当作業や加工工程をビジュアルで説明

 

2. 見学から得られる価値を5つのメッセージで伝える
見学者に具体的なメリットを感じてもらうため、「見学から得られるコト」を明確に提示

● すべての加工機と工程を観察できる
製造フローが明確に理解でき、依頼時の安心感が生まれる。

● 新人の教育や学びの場になる
加工工程の基礎を学ぶ機会としても活用可能。

● 得意・不得意を把握できる
無駄な見積もり依頼を減らし、効率的な取引が可能に。

● 工程削減や納期短縮のヒントを発見
製造現場の工夫を知ることで、互いの経験やアイディを交えてビジネスに直結する発見が得られる。

● 「切削達人」になれる
専門知識が深まり、互いに共通言語ができて依頼がスムーズになる。

永田製作所様のホームページはこちら
https://www.nagataseisakusyo.com/

 

展示会後のフォローとして工場見学を活用する仕組み

永田製作所のように工場見学を積極的に活用することで、展示会後のフォローがより効果的になります。以下に、町工場でも実践できる仕組みづくりのステップを紹介します。


1. 工場見学を提案するツールを作成
見学の魅力をわかりやすく伝えるパンフレットやガイドマップを作成します。
<記載内容の例>
工場見学で見られる加工機や工程の概要
見学から得られる具体的なメリット
職人やスタッフの紹介

2. 感謝ハガキで見学を案内
展示会後に送る感謝ハガキに担当者と会話した内容や課題を一言添えて「工場見学案内」を記載します。
<例文>
〇〇様
展示会では当社ブースにお越しいただき、ありがとうございました。当社では、実際の加工工程をご覧いただける工場見学を開催しております。ご興味がございましたら、同封のガイドマップをご覧いただき、ぜひお越しくださいませ。

3. 来訪者が得られる価値を強調
工場見学に来ることで顧客が得られるメリットを明確に伝えます。「見学を通じてこんなことが解決できます!」といったメッセージを伝える。

4. 見学後のフォローを徹底
見学後には御礼メールや手書きのメッセージを送り、関係性をさらに深めます。 また、定期的に自社の考えや思いを綴った通信などを定期的に届けると良いでしょう。相手が必要なときに選んでもらえるように脳内検索一番を目指すのです。

 

工場見学がもたらす「価格競争からの脱却」

実際の製造現場を見てもらうことで、製品の価値や工場の技術力を「実感」してもらえます。これにより、単なる価格競争から抜け出し、顧客に「この工場に任せたい」と思ってもらえる関係性が生まれます。
展示会後のフォローを「工場見学の誘導」にシフトすることで、町工場ならではの強みを最大限に活かしましょう。それが、長期的な取引を生む大きなステップとなるのです。

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