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社員教育・営業

第48講 カスタマーハラスメント対策の実務策㉟『本人の謝罪がほしい!』第2部

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
⑦『本人の謝罪がほしい!』《2部/2部作》

 この考え方は、人道的なことも加味しています。ここまで話したように企業にいささかの原因があるのに、お客様が「担当者を出せ」と言ったから担当者を出すことは、この担当者の気持ちとしては、企業が自分を人質として差し出すような感覚になります。本来なら、いろんなことで従業員を守らなければならない企業なのに、会社が助かりたいために従業員を相手の求め通りに差し出すことは、人道的に許されないことです。なにしろ、担当者がお客様を怒らせた原因は、会社にあるわけですから。

 ただ、お客様は「本人じゃないと気が済まない!」「上司が謝罪しても納得できない!」「本人に謝ってほしい!」「本人と話がしたい!」としばらくは言うでしょう。

 でも、これは本心ではありません。口がすべって、このような頑固なことを言っているだけです。無意識に「自分は怒っているんだ!」というアピールをしたくて、口がすべっただけなのです。なぜなら、ひとりの担当者のミスというのは、会社の指導不足に根本的な原因があることを知っているからです。普通の大人なら、皆、知っていることです。だから、本気ではないのです。怒りに震える客を演じるために口がすべってしまっただけなのです。

 それでは、もし、このお客様の要望に応えて、怒りのターゲットとなっている担当者に、このお客様対応を代わったとしましょう。どうなるでしょうか?「ああ、君と話がしたかったんだ。やっと、話ができる。うれしいよ」なんて言ってくれるでしょうか。また、「君の謝罪で気持ちが収まったよ」なんて言ってくれるのでしょうか。そもそも、この時、謝罪した担当者は、素直な気持ちで謝罪をするのでしょうか。「会社に落ち度があるのに、たまたま対応した自分が、何で謝罪をしなくてはいけないのか」なんて思っているのではないでしょうか。

 いいですか。担当者を怒りのターゲットからはずし、会社が怒りのターゲットになるような対応をしてください。

 それでは、「張本人に謝らせなさい」と言われたら、どういうトークで回避するかのトークを記述します。

「張本人に謝らせなさい」「張本人が謝らない時がすみません」と言われたら

 第1トーク 「担当者の対応に不足があったことは、私ども会社の指導不足でございます。そのようなことで、私からお詫びをいたします」

 第2トーク 「担当者の対応に問題があったということは、私ども会社の管理監督不足にあたりますので、ここでお詫びをいたします」

 第3トーク 「担当者の対応に違和感をお持ちになったということは、私ども会社の指導不足ということにつながると思います。そのことに気づかせていただいたことに、ありがたい気持ちでございます。」

 そして最後に注意してほしいことを2点記述します。

 1つは、再発防止・二度とないようをしますとか言わないこと。

 このトークの中に「今後、このようなことが二度とないようにいたします」や「再発防止に努めます」等の言葉は絶対に使わないでください。そんなことは、約束できることではないからです。約束できないことを、社交辞令的に言わないようにしましょう。もし、お客様に突き詰められたら、また、返答に困ってしまうのでオチです。

 2つ目は、この担当者がお客様を怒らせたことが明らかな場合、どこまでペナルテイーを与えるかについてです。担当者のせいで会社に迷惑をかけるようなことになってしまったのであれば、会社がこの従業員に、会社が被った損害の賠償請求や、退職要求をするなどの措置命令を発布し、交渉をしてください。このお客様の難渋対応を担当者が自分で解決することをペナルテイーとしないでください。そうすると、この従業員と会社とのトラブルに発展してしまうからです。

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