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第5講 クレーム対応の結果、会社のイメージを作るのは、品質・サービス・契約内容であって、担当者の対応の問題ではない!

クレーム対応の新知識と新常識

1.クレーム対応担当者は、『会社の看板』『会社の代表』『自分の対応がお客様の会社への評価になる』という意識を持つ必要はありません

 そもそも、企業のクレーム対応担当者は単なるクレーム対応受付者。担当者がやるべき対応は会社の考えを伝えること。なぜならお客様の会社への評価は会社の対応が基準となるからです。その基準というのは、製品の品質・サービスの品質・契約事項の品質が基本となるということ。つまりお客様の望む製品なのか、サービスなのか、契約内容なのかが、消費者が企業に信頼度や好感度を高めるリソースとなります。

 クレーム対応担当者は、会社が決めた契約内容を説明するのが役割だったり、会社が提示した対応をお客様に伝えるのが役割だったりするわけですから、クレーム対応担当者が伝えた話にお客様が満足しないとしたら、それは、『担当者の対応に満足していない』ということではなく『会社の対応に満足していない』ということになります。

 つまり、クレーム対応担当者は『会社の看板』でも『会社の代表』でもなく、まして『担当者の対応が、お客様の会社への評価を決める』こともないのです。そんなに重大な任務を背負ったポジションではありません。もしそれほど高い任務を期待されているポジションだとしたら、もっと高い『権限』を与えられるべきです。でもそんなこともありません。

 クレーム対応担当者は、お客様の状況と言い分を情報として豊かに入手し、会社から具体的な対応方法の指示をもらい、それをお客様に伝える。クレーム対応が終了したら、その問題に関わる担当部門に今回の情報を伝達する。この流れを、社会人として問題のない態度で運んで行くことが仕事です。

 このことが、お客様と会社の板挟みになることを避けることができるしなやかなクレーム担当者の姿だと言えるでしょう。

 

2.クレーム担当者は「再発防止に努めます」「責任を持って対応をします」と、誠実そうに見せたいがために、約束できないことを約束するようなことを言わない

 クレーム対応の際のクロージングのあたりで、自分の誠実さを強調するあまりつい、言いたくなるトークに『責任をもって対応いたします』『再発防止に努めます』があります。しかし、このトークは、クレーム対応時にはNGのトークです。なぜなら、真実ではないからです。

 クレーム対応担当は、お客様と企業の間に立って、お客様に対して自分ができることをやり、会社としてできないことはできないとお客様に伝える係です。つまり、製品や、サービスや契約内容の改良や改訂をする担当ではないはずです。

 お客様の不満や指摘を基に、現存する製品や、サービスや契約内容を改良・改訂するのは、その専門部門が行うことです。その前に、そうするかしないかを決めることから、専門部門に一任しなければなりません。

 つまり、クレーム対応担当者には、再発防止を行うかどうかを決める権限はないのです。再発防止を自社に強制する権限のないクレーム対応担当者が「再発防止に努めます」と勝手に言うことは好ましいことではありません。

 まして、自社に対応を強制する権限がないのだから『責任』も持っていない立場となります。『責任』は『権限』のある人に備わるものなのですから、「権限」を持っていないクレーム対応担当者は、軽はずみに「責任」と言う言葉を使うことは差し控えましょう。

 例えば、「責任を持って対応します」とお客様に言ったあと、必ずと言っていいほど「あなたは責任がとれるほど偉いの?肩書はなに?」と言われることになります。同じように「再発防止に努めます」とお客様に言ったあとに「どんなことを、いつするのですか?」と聞かれることになりかねません。自分から、真実ではないトークを言ってお客様の苛立ちの地雷を踏むことはありません。

 誠実そうに見せながら嘘ではないクロージングトークを言いたいのなら、「担当部門に、お客様のお話とお気持ちを必ず申し伝えます」というと良いでしょう。

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