▼牟田太陽の「後継社長の実践経営学」CD版・デジタル版
- ホーム
- 繁栄への着眼点 牟田太陽
- 第4回 「時代に合わせて進化するということ」
令和の時代が始まった。 人間は何億年もかけて進化を遂げてきたが、継続的に進化を続けてきたのではないという。環境の変化など、何かのキッカケを経て段階ごとに大きく進化をしてきた。
会社も同じではないだろうか。
昭和、平成、令和と、会社を取り巻く環境は大きく変貌し、常に業態改革を迫られてきた。それに進化した会社は生き残り、進化できなかった会社は去ることになる。
平成の世で出てきたインターネットは、衝撃的な環境変化の一つだ。誰でもパソコンから、携帯から、簡単に世界と繋がるようになってしまった。これはあらゆる業界のシステムを覆した。「インターネットショック」と言ってもいい。 令和の時代になって環境の変化はさらに激しくなるだろう。
昨今、「サブスクリプション」という定額制のビジネスが話題になっている。定額制なので、月額いくらかの料金を毎月払うことでそのサービスを受けられるというものだ。早くも色々なサービスが出てきている。
スタイリストが選んだ洋服3点セットを月額9,800円で借り放題、気に入れば購入することも出来るし、返却すると新しい洋服3点がまた届く。実に良い値付けだと感じる。定額制のビジネスのキモは一にも二にも料金だ。「買った方が安い」と感じれば、消費者が飛びつくことは無い。この会社は成功をしていて既に全国に22万人の会員がいる。
バッグのサブスクリプションの会社もある。57ブランドのバッグを月額6,800円で借りられる。飽きたら返却をして、また違うバッグを借りる。面白いのが、自分のバッグを貸し出すことも出来ることだ。借り手が決まれば収入が入る。これで月12万も稼いでいる人がいる。
BtoCだけでなくBtoBのサービスも色々ある。
トラックやバスの業者向けにタイヤやメンテをサービスする会社、オフィス家具、PC用のソフト、保守・メンテ…など様々だ。
さらに驚いたことに食品のサブスクリプションも続々と出てきて話題になっている。
そのサービスも様々だが、背景には食の廃棄ロスも大きな理由となっている。前日に仕入れ過ぎてしまった食材をお任せで翌日のお昼に提供するというものだ。
先進国の中でも日本の食の廃棄ロスは大きな問題となっている。
恵方巻や、クリスマスケーキを想像してほしい。ありとあらゆるスーパーやコンビニエンスストアの店頭にうず高く積もれている光景を。これらはたった一晩過ぎてしまえば「食品」から「生ゴミ」へと変わる。恐ろしいことだ。日本だけで見れば人口減少しているが、世界全体で見たら凄い勢いで人口は増加している。これが80億、100億となった時にどうなるのだろうか。食と水を国同士が奪い合うことになるだろう。それが分かっていながら食の廃棄問題は一向に変化を見せない。大量生産、大量消費の時代から一歩も出ていない。非常に危機感を感じる。
「サステナブル」自分の子どもたちの時代でも、安心して生活を送れるよう「継続可能とする社会」への進化が求められている。
先日、京都の440年の歴史を持つ料亭「平八茶屋」の21代目である園部晋吾社長からいい話を聞いた。
「変えなければ続かないし、変えすぎても良くはない。『この店は変わらない』とお客様に喜ばれるのは、440年のいつの時代でも、変えるべき部分を見極めてきたから」
あるお客様はこう言った。
「ウチの会社は創業当初と全く違う商品を扱うようになった。別の会社になってしまった。創業者が生きていたらなんて言いますかね」悲しい顔をして言う社長に私は言った。「いや、何も変わっていないですよ。オーナーでしょう。モノが変化しても人や思想は変わりませんよ。それが線となって繋がっていればいいのではないですか。それが進化というものでしょう」
時代が変わり、世代や商品が変わっても、思想を受け継ぐ人がいる。
これが我々が目指す、「幾代にも続くオーナー社長業」というものではないか。
※本コラムは2019年5月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
▼牟田太陽の「後継社長の実践経営学」CD版・デジタル版