▼牟田太陽の「後継社長の実践経営学」CD版・デジタル版
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- 繁栄への着眼点 牟田太陽
- 第11回「失敗よりしてはいけないこと」
それは「やらない言い訳」だ。
何事も失敗はつきものだ。失敗した数ほど学びがある。
誰にとっても失敗は怖い。出来れば失敗などしたくないだろう。
しかし、一度も失敗をしないで大成した人などいない。むしろ、歴史に名を残している偉人ほど大抵、何度も何度も失敗を繰り返し、そこから「どうしたらもっといい商品になるのか」「どうしたらもっとお客様のお役にたてるのだろうか」と自問自答して本当に良いものを世に生み出してきた。
私自身、本当に多くの失敗を積み重ねてきた。
お客様から、講師から、上司から、先輩から何度も何度も現場で怒られ、そして「次からは気を付けよう」と固く心に誓い、同じミスを繰り返さないように学んできた。それは立場が変わってもいっても同じではないか。注意をする側になっても、「注意をするからには、自分も同じミスは出来ない」と襟を正さなければいけない。お互いにとっての教育だ。
失敗から得るものは大きい。だから、失敗をしたら過ちを素直に認めて次への糧にしなければならない。決して失敗をしたままではいけない。
立場的に多くの後継者と親しくさせてもらっている。昨今、名刺交換をしていると「経営企画室」という肩書の後継者を多く見るようになった。こういう肩書はあまり感心しない。
どうしても過保護に見えてしまうからだ。もちろん経営企画室でも営業なり、製造なり現場を積んでいる後継者もいるだろう。であれば、他の肩書にすればいい。営業、製造の現場を駆けずり回り20代、30代に小さな失敗を多く経験すればいい。その失敗が、より良い40代、50代を作り上げる。ゼロから会社を立ち上げ、何でも経験してきた創業者と違って、後継者はこうった経験をすることでしか先代の苦労を知り得ない。
多くの経営者が相談に来られる。
新事業のことであったり、組織のことであったり、身内のことであったり、様々だ。向こうも真剣ならこちらも真剣だ。感情移入するので喜怒哀楽が出たりもする。
ただ、残念なことだが、こちらが真剣にアドバイスしたことに対して「やらない言い訳」をする経営者がいることだ。
「前例がない」「業界的に問題がある」「人がいない」「ストーリーがない」…アドバイスを求めに来たのに言い訳をする。よくここまで言い訳が思いつくとさえ思う。
どんな会社であれ、最初から歴史があった会社など、ただの一つもない。どんな大企業でも一度の失敗もなく順風満帆に大きくなった会社もない。先代たちの多くの失敗の上にいまがある。それが歴史ではないか。それをいまの社長、後継者が「前例がない」「ストーリーがない」などと言い訳をする。そんな会社に未来などない。
冒険しないと飛躍がない。
何事も始めるには勇気がいる。やり続けるには信念がいる。成功するかどうかはやってみないと分からない。全ての罪は失敗を恐れて、いま行動を起こさないことだ。
どうか、失敗を恐れずに勇気を持って大きな一歩を踏み出してほしい。きっと出来るはずだ。
※本コラムは2019年12月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
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