昨年、『PRIR(プリール)』という広報向けの雑誌が創刊された際の特集で、私が執筆させていただき
好評を得た記事の1つに「思わず見入ってしまう社長の写真が撮りたい」という物があります。
外資系企業トップエグゼクティブ8名のポートレートについて、“何故それがトップエグゼクティブとして
効果的で素晴らしいのか?”それぞれ特徴的な点について、イメージコンサルタントの視点から分析し、
コメントをつけたものでした。(http://www.thelookbest.com/pub2005040201.htm)
その際に改めて実感したのは、装いはもちろんのこと写真の中にいらっしゃる
それぞれの企業の顔となる方々お1人お1人が、大変魅力的な表情と
余裕のあるポスチャーをなさっている事です。前回のコラムでお伝えした「装い」に関しても、
しっかりとスタンダードなルールを十分踏まえらた上で、社長の個性や企業イメージ、
情報等を的確に発信するそれぞれの演出方法が取られていました。
私がご依頼いただくトップエグゼクティブの方のイメージコンサルティングや、メディアトレーニングでも
、大変重要なポイントの一つになるのがベストなポートレートを手に入れる為の方法です。
その際に、「常日頃から、ご自分が何者であるのかを一目で相手に伝えられる様に装ってください」と
クライアントの皆様にお伝えしています。
「装い」とは、着る物のことだけではありません。衣服で覆われておらず表情の現れやすい顔や、
気持ちの現れやすいしぐさや、その方の生活背景や歴史がにじみ出やすい立ち居振る舞いも
大切な装いの一部です。どれだけ素晴らしい衣服を着て、どれだけ素敵なルックスをされた方でも、
そこに刻まれる表情や動きに余裕や重厚感が欠けてしまっていたら、アンバランスです。
そして、このような常日頃からの動きや表情は、その一瞬を切り取るポートレートにも表れやすいもの。
心がけていただく事で、いつ何時写真を撮られても安心なご自分でいる事ができます。
しかし大抵の場合、カメラを向けられるとつい堅くなってしまいます。
そのような時の為に、笑みをたたえ、キリリとしたイメージもある
良い表情とポスチャーをとることのできるヒントをお教えいたします。
(1)頬骨を中心として、表情筋をリラックスさせる。
撮影前に誰かと話をすることで、顔の筋肉が自然に動くようになります。
(2)口角が自然にあがった口元 → 両奥歯をかみ締めるようにする。
口もとだけで笑顔をつくろうとすると、非常に不自然です。奥歯をかみ締めるようにすると、
耳の方に向けて表情筋が引き上げられるようになるため、顔もひきしまる上に、自然な口元の笑顔になります。
(3)座っていても、立っていても、丹田(へその少し下位置)に前と後ろ(背中側)から力を込める。
このポイントで腰が安定します。その安定した上に背筋がすっと伸びていると、
それだけで自信のある堂々としたイメージを相手に与えます。
(4)肩は一度上に引き上げ、半回転後ろにストンと落とす。
自然に胸が張れるようになり、精悍なポスチャーがとれます。
(5)近くに鏡を置いてもらう
ご自分の表情を確認して安心したい場合、立ち位置やすわり位置から見える場所に鏡を置いて、
表情やポスチャーを確認しながら撮影を行います。良かった表情や、ポーズだった感覚を
身体に記憶させていきましょう。
(6)ポーズの注意点。
例えば、「腕組み」のポーズ。一種威厳をもったパワーイメージのあるポーズとして受け取られていますが、
これは相手を受け入れない、受け入れるのを恐れているが故の「威嚇」のポーズでもあります。
しかし、写真馴れしてない方の場合は手をどこかに落ち着けないと、表情まで落ち着かなくなってしまうため
、写真家は腕を組むことを指示する事もあるでしょう。もし、このポーズで写真を撮影するのであれば、
威嚇を全て打ち消すくらいのビッグ・スマイルが不可欠です。
(7)少なくとも年に1度はポートレートをアップデート
どんなに気に入った写真だからといっても、時間のたったものは過去でしかありません。
どんどん成長しているイメージを周囲に伝える為には、社長のイメージを伝える写真でも
それを伝える事が望ましいでしょう。
余裕のある笑みはその人の器の大きさ、自然で堂々とした姿勢は揺ぎ無さ。それらは全て、
その企業の豊かさの象徴となります。トップエグゼクティブの最高のポートレートは、
企業のより良いイメージ情報発信ツールです。それがマスメディアに向かって、
企業のメッセージを語るのですから。
前回の「装い」、今回の「表情・ポスチャー」を踏まえ、納得の行くポートレートを是非ご用意ください。