※本コラムは2023年8月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
「あの人に出会えて人生が変わった」という人が何人いるだろうか。
人の人生は出会いで始まる。
私の友人にプルデンシャル生命保険の吉田 誠さんがいる。
出会いは2004年3月、滋賀ダイハツ販売の故後藤昌幸先生の勉強会だった。隣に座り話をしていると話が弾み、「吉田さん、今度、ウチの営業マン育成のセミナーで講演をしてもらえないか」という話となった。吉田さんは二つ返事でOKをしてくれたが、そのために話し方の勉強まで通い、かえって手間をとらせてしまった。
そして当時会長がやっていた実学の門 東京会場に招待をしてから深い付き合いが始まった。旧経団連会館の国際ホールに経営者が100数十人集まり勉強している空気感、その熱気に初めて触れ人酔いしたと吉田さんは言った。
以来、実学の門も、全国経営者セミナーも、会場が変わり、講師も変わったが20年近く一度も休まず参加をしてくれている。参加費は全て自腹だ。
その吉田さんが、「クライアントである社長と話しをするのに無門塾に参加をして勉強したい」と言ったときには正直返答に迷った。
無門塾は経営者の会だ。「保険を売るために営業しに来たのか」と心無いことをいう人もいるかもしれない。役員で相談をして、「申し訳ないがお断りをしよう」と決めた。
ところが、会って話をしていてあまりの熱意に、気づいたら「ご参加ください」と言ってしまっていた。9年経つが、いまでも無門塾5期生のまとめ役となっている。一緒に海外視察も何度も行った。毎年3回、私と家内の誕生日、理事長就任日には自宅に花が届く。そういう間柄だ。そういった人がいる人生には華がある。多ければそれだけ華やかになる。
私には5人の師がいる。
経営の師は牟田 學、理念の師はジョンソン・エンド・ジョンソンの元社長である故新 将命先生、営業の師は三愛の元社長の故田中道信先生と滋賀ダイハツ販売の故後藤昌幸先生、財務の師は井上和弘先生だ。
ここ数年で亡くなられてしまった方が多いが、重要なのは「その方の考え方は、自分の中に生き続ける」ということだ。いまでも故一倉定先生が師事されるように。
そして、何か経営の判断で迷ったときに、「あの人だったらどう答えるか」と考え、「こうした方がいいのでは」と幻聴が聞こえるくらい想うことだ。
人の人生は出会いで始まる。
そもそも出会いの「数」が無ければ、出会いの「質」は生まれない。そういった場所に自分の身を置かなければいけない。故一倉 定先生は、社長室に閉じこもる社長のことをアナグマ社長と呼んだ。
故後藤昌幸先生は、社長室の壁のことを情報遮断版と呼んだ。社長室の中には何もない。新しい出会いも、新商品のネタも、新事業のネタも、お客様も存在しない。自分から出ていかなければいけない。
自分が先頭切って外に行かなければ、幹部も、若手も、外を知ることはない。幹部にも、若手にもどんどん出会いの場を与えてほしい。
※本コラムは2023年8月の繁栄への着眼点を掲載したものです。