言語を超える「ボディランゲージ」の効果 1
基本的に同じような装いレベル、同じようなボディランゲージをしているのに、
何故か印象に大きな差ができてしまう場合が現実には非常に多くあります。
差ができてしまうだけであればまだしも、片やポジティブな印象、片やネガティブな印象という
対極の印象を与えてしまう場合さえあるとしたら、その要因が何であるかを知っておくことこそ、
経営者、トップエグゼクティブとしてのイメージマネジメントにおいて必須でしょう。
今回は、ほんの僅かな事柄の重なりと欠損、その全体的なバランス加減で、
国際交流・コミュニケーションの場面でネガティブな印象を与えてしまった、
ごく最近に質問を受けた実例を挙げ、幾つかの項目を順番に分析・解説していきましょう。
シチュエーションは次のようなものでした。
「NYからシェフ数名が、日本のある地域に視察に行った時に撮影された写真があった。
それを目にしたある人は、その写真の数々をみるにつけ、海外からの客人であるシェフ達を迎えた
日本側の方々が、何故かとても魅力的ではなく、パワーレスに見えた。
そして、写真に写っていた数々のシーンで、彼らの態度が横柄なものに感じてしまった。」ということでした。
「日本側の方々の服装は、通常のダークカラーなビジネススーツ。まさに、“正しい”という印象。
かたやNYから訪問していたシェフ達は白いシェフコート。
彼らはとても自然で、堂々としており、楽しそうでポジティブなパワーがある印象を受けた。」というのです。
「そう感じてしまうのは、どうしてなのだろう?」それが質問でした。
この場面で、ポジティブなイメージとネガティブなイメージ、これら相反するものが見えてしまった原因とは?
それはボディランゲージ。
その中でも、特に初対面の相手に与える第一印象「ファースト・インプレッション」や、メディアにおいて、
直接会ったり話したりすることのない聴衆・読者に、より良いイメージを与え、大抵のシチュエーションを
ポジティブに転換することのできる最大の武器である「笑顔」の有無であったことは、疑いようもない事実です。
それらの写真には、シェフの方々のビッグ・スマイルに対して、日本側の方々の笑顔の見えない
硬い表情がコントラストとなって現われてしまっていたのでした。その上、日本側の方々は、
口元の印象を決定する「口角」が完全に下がってしまっており、頬も上がっておらず無表情に見えたのでしょう。
想像するに、アメリカからの客人を迎え、一生懸命が故に表情がこわばってしまっていたのかもしれません。
また、どこかでホストとしての力量を見せなくてはという責任感が、無意識に「甘く見られてはいけない」
「自分を大きく見せなくては」という気持ちにさせてしまったことも原因のひとつなのではないか?と
察することができました。真面目な硬い表情は、威厳ではなく威嚇になり、
相手を遠ざける拒絶につながることが多くあり、緊張の表れすぎは、気の小ささを物語ってしまいます。
この両方が一緒に現われてしまったことで、パワーレスというボディランゲージによる
ビジュアルイメージを作り出してしまったのでした。
笑顔に対する認識と文化の違いが、そこには確実に存在していましたが、やはり国際交流の場です。
例え、場所が日本であったとしても、迎える客人に対する尊重を表現するためには、
相手に分かりやすいコミュニケーションの方法(言語・非言語)でお迎えするのが、
何よりものエンターテイン(もてなし)であり、相手をリラックスさせ、より円滑なコミュニケーションを取ることの
出来る方法ですね。初対面もしくは、一方的に見られているという場面設定で、その相手に対して
「大きな存在」「堂々としており、本当の意味で自信がある存在」だと認識されるか否かの違いの
大きなポイントの一つは、やはり笑顔の自然さと、その大きさです。
以前、NYのある経営者にインタビューした際、
「日本のトップエグゼクティブに、国際場面でより重要な存在として認識される為のアドバイスがあるとしたら?」
と質問をしたら、「Big smileですね。日本の方々はとても礼儀正しく、身ぎれいにされています。
もっともっとパワーのある存在である印象を他者に与えるには、もっともっとsmileです」と
ビッグ・スマイルで仰ったのが印象的でした。
自然に笑顔を人に向けることのできる人には、他者を惹きつける大きな力があります。
自信と余裕があり、人を受け入れる器の大きな人と認識されるのです。
まさに、内面が外見に大きな影響を与えた結果として認識されることから来る、
「存在の大きさ=オーラがある」といわれる状態と言えるでしょう。
これこそ経営者やエグゼクティブにとっての力を測られるポイントであり、
国際的に通用するポジティブなイメージのパワーです。
次回は、“言語を超える「ボディランゲージ」の効果 2”として、
この写真に見たボディランゲージのポイント第二弾を分析解説したいと思います。
ちょっとしたジェスチャー、ポスチャーが相手に与える印象を大きく変えているとしたら?
自分がどんな動きをしているのか見てみたくなりませんか?
写真、映像、ふとした時の姿を鏡でみるなどなさってみるものよいかもしれません。