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<事例―10 ヤナセ(B2C)> クルマを売らず、自社のサービスを売ってブランド力に換える・・それがヤナセだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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 ●ブランド力はサービスでも構築できる
 
 メーカーの経営者は「製品の技術力」や「商品の機能」など、モノを通じて優位性を発揮し、自社のブランド力を高めようとする傾向が強い。しかし生活者からの問合せやアフターサービスといった顧客との接点で企業の対応が悪いと、いかにモノの技術力や性能が高くてもブランド力は向上しない。
 
 顧客に対して企業の対応が悪いと、その悪評は瞬く間にネット上に拡散し、多くの人たちの知るところとなる。フェイスブックやブログ、ツイッターなどが普及したことで、マスメディアよりも早く情報が広がるからだ。ネット上のメディアで情報が拡散すると、マスメディアも取り上げるようになり、悪評はさらに広がって、企業に大きなダメージを与えることになる。
 
 製造業でなく販売という分野で独自のサービス力を発揮し、顧客に支持されてリピーターを創造している企業がある。自動車ディーラーのヤナセだ。ヤナセはドイツ車ではメルセデス・ベンツ、スマート、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン。アメリカ車ではキャデラック、シボレー、クライスラー、ジープを取扱っている。
 
 ●顧客生涯価値を踏まえた企業の対応
 
 ひとりの顧客が一生涯に渡って自社の商品を購入し続けてくれた場合の金銭的価値のことを、「顧客生涯価値」という。例えばクルマなら、20代から60代まで8台のクルマを購入し、1台当りの平均価格が300万円だと仮定すると、顧客生涯価値は2400万円になる。
 
 高額な輸入車の場合、1台当り平均で500万円だとすると、4000万円になるわけだ。自動車メーカーと違い、ヤナセは他社の「製品」を販売するため、自動車メーカーや車種によって売上は大きく変動する。
 
 他社製品を販売する弱点を補うために、同社ではサービスを通じて顧客に満足を提供することが自社の優位性につながると考え、事業活動を行なってきた。
 
 同社の社員教育方針には『永久的なお客様を創造する人材を生み出す』という考え方が1973年の段階で盛り込まれており、社員教育に反映されている。
 
 たとえ同社が取扱う製品が変わっても、顧客がヤナセを評価し支持してくれる基盤があれば、同社の資源になると考えたからだ。
 
 ヤナセのセールスマンの対応を経験すると、他のディーラーでは満足できなくなるという人が多く、これが数多くのリピーターを創出する同社の資源になっている。
 
 高額製品をただ購入してもらうだけで終わらず、生涯に渡ってヤナセを利用してくれる顧客を生み出している力。それが、同社独自のサービス力だ。サービスの力によってカーディーラーが自社のブランド力を高めているという取組みは、世界でも珍しい事例だ。
 
 <ヤナセの事例に学ぶこと>
 サービスとは、ホテルやレストランといった業態だけのものではない。自社製品でないモノを販売する小売業などの業態でも、サービス力によって強いブランド力を発揮し優位性を発揮できる。
 
 
 
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