日米において、長年トップエグゼクティブのイメージ・コンサルティングやメディアトレーニングに携わっていると、つくづく思うのは、初対面で「只者ではない」と思う方というのは、当たり前のことをしっかりなさっているということ。今までトップのイメージ・マネジメントについて色々書いてきましたし、御自身に置き換えて考えていただけるように、可能な限り、多分どなたにも身に覚えがあるのではないだろうか?と思うテーマを取り上げてきました。その殆どは、「エグゼクティブだったら当然出来ているべき/知っているべき」と周囲が期待していること、是非とも御自身のモノにしていただきたいこと。それらが他者に与えるイメージによって、社長の価値が決まり、その企業価値にも直結すること。
しかし、先日某社トップエグゼクティブのメディア対応イメージのコンサルティングを行った際にふと思ったのです。社長といえどもオールマイティではない。その上、立場が高くなればなるほど、人に聞けなくなることが沢山あり、周りの人も指摘しづらくなる。それまであまり意識したことが無かったのに、ある日ある立場につくことになり、今まで意識したこともなかった切り口から、外見や存在感、イメージなど、考えたこともなかったことを要求される。実務であれば当然のことと思えるでしょうが、外見など二の次、不潔でなく、人に迷惑をかけないようにしておけばよく、何よりも誠実に仕事を一生懸命してくることが大切だった方であれば、戸惑うわ、恥ずかしいわで、自分をどうしたら良いか、皆目分からなくなってしまうのも当然でしょう。そして、それは別に不勉強な訳でもなく、努力を惜しんでいる訳でもないのですが、社長、トップという立場を持って評価すると、結果的には裸の王様のようになってしまっているということが事実です。ただ、それを知る/調べる術を持たないがゆえに。
そこで、このコラムを社長の価値を高める戦略イメージ・マネジメント A to Zとして、外見イメージに関わるアイテムや事柄、バーバル/ノンバーバルコミュニケーションについて、国際基準のビジネスエチケットなどをテーマとして実際の例なども挙げながら書き綴り、社長/企業トップの方々が、「あれはどうだったかな?」と思ったときに見直す、社長のディクショナリーのようなものに出来たら、社長/トップの威厳も御自身の誇りも保ち、自身を持ってさらなるビジネス展開に臨めるのでは?と思った次第です。
A to Zの中身は、社長/トップというスポークパーソンとして期待され望まれる、パブリックアピアリングの際のイメージ、発声、話し方、表情、姿勢、ジェスチャー、視線、身のこなしなどのスキルや、コミュニケーションスキルの向上のヒント、さらに、パーソナルイメージ形成の為の、御自身のイメージ分析の仕方、業種別のイメージとその表現法、顔映りの良い装いや髪型、仕草のポイント、シチュエーション毎に必須となるワードローブ、インターナショナルな場面でのルールなど。そこに、過去に書いたコラムのテーマやトピックも振り返り、このA to Zのリストに加えながら構築して参ります。
これから世界的に迎える新しい時代の競合に勝ち抜くために、そしてあらゆるシチュエーションで効果を上げ、トップそして企業として高い評価を得る為に、企業の顔である社長がイメージのマネジメントについてのTipsを一つでも多く御自身の物にし、その役割に相応しく企業イメージともバランスのとれた印象を身につけ、世界に評価され通用する、日本人ビジネスパーソンの代表となる事で、必ずやさらなる企業価値を創造することができるはずです。
次回より、いいよ「A」で始まるテーマからスタートいたします。どうぞお楽しみに。