焼き鳥販売業のパイオニアとして「誠実」「挑戦」をモットーに事業を展開しているのが、新生食品(株)である。
同社は、焼き鳥の材料、移動販売の焼き鳥屋台など、焼き鳥の総合専門業者で、卸業と移動販売業が中核の企業である。
18年前、冷凍食品の問屋に勤めながら、持ち前の行動力とアイデアで「スーパー店頭での焼き鳥屋」を起し、創業した。
味付け焼き鳥の材料には特に強く、業界内ではよく知られている企業である。
焼き鳥屋台の商売は15年目がピークで、現在は成熟市場である。
だが、まだまだ伸びていく市場でもあるという。需要が増えているのに人材不足が続いてい る。
同社の中村公夫社長(57歳)は団塊世代もあって、同世代の定年を迎える人材に着眼した。
「オヤジのこだわりの焼き鳥屋」の新業態を打ち出している。
「定年後、ノンビリと自分のペースで焼き鳥の屋台商売はいかが」
とフランチャイズチェーン「やきとりしんちゃん」を展開している。
やる気さえあれば、無資本でも開業できる商売、しかも、
「二人でローテーションを組んだ焼き鳥商売」と新機軸を打ち出している。
この商売の繁盛のコツは、徹底した商品管理、ロスを極力少なくすることという。
外から見ていると、焼き鳥屋の親父になるのは1日でもできそうだが、「1年コツコツやれば覚えられる」という難しい面もある。
最初は、場所(スーパーマーケット)6割、腕(焼き鳥を焼いている人の顔)4割だが、
3年ぐらい経つ と、6割が顔で、タレと焼き方が4割と逆転する面白い商売だ。
注文を受けながら、焼いていく手作りの商品と接客が売上げを左右する商売だけに、
人間力(能力、接客上手、愛想など)で決まる。
中村公夫社長は社員に対して、「開拓」「挑戦」「誠実」を常に語っている。
営業の力を大事にしてきただけに、この三つの言葉を現場で檄を飛ばしている。
また、焼き鳥屋を始める自営業者に対しては、「親切さを忘れないこと」「現場でけんかをするな」が口ぐせだ。
当たり前だが、お客の味方づくりを仕事の中で徹底している。
万一、けんかの状態になったら、「素直に謝ること」を 教えている。
焼き鳥一筋の努力型の商売人は、今、
「団塊世代のビジネス支援」と新業態「駅前スタンド型立飲み屋」の提案に力を入れている。
時代の変化を見極めながら、他社では提案できない消費者が支持できる焼き鳥屋の普及に努めている。
「持続が大事。相手(消費者)あっての商売だから、気を休められない」というエネルギッシュに行動する中村社長である。
上妻英夫