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第二十話 商人は信用が一番だ(神田屋鞄製作所)

社長の口ぐせ経営哲学

ランドセルの購買の季節は毎年1月から2月がピークである。
「カルちゃんのランドセル」で知名度の高い老舗のカバンメーカーの
株式会社神田屋鞄製作所(本社・東京都豊島区)
は、ランドセルの販売最盛期を迎えている。
同社は少子化問題が叫ばれている中で、代理店方式の独自の販路開拓と
アイデア豊富な商品開発で業績を維持している元気な製造小売業である。


同社の生田順洸社長(68歳)は
「今年のランドセルの傾向は11色の多色化と“軽くて丈夫”の基本をベースに、身体 に優しいランドセルが主流です。
30年前に打ち出した『6年間無料保証』もすっかり定着してきています。最近は子供自身が好みのランドセルを決めるという
ふうになってきています。わが社の実績を一言で言うと、“37年間で100万個以上の神田屋ランドセル”を子供たちに
提供し続けていることです」と自信を 持つ。


独特の販売戦略として、幼稚園や保育園に出入りしている業者(代理店)が全国に150箇所、カラー刷りのランドセルカタログ
85万部を全国に配布、官公庁や一般企業、さらに学校関係への営業、インターネットでのネット販売などを展開している。


『良品廉価』が同社の商品開発のモットーで、業界初の「6年間無料保証」を始め、「商品の責任」を明確にする
メーカータグの取り付けも早くから導入、止め具や金属パーツにも「KDK」のマークを入れている。
商品に対する責任や良品造りの自信の表れがマークやタグとして、生産責任を明確にしている。


生田社長は母親から商売の基本を学んだ。
「商人は信用が一番だ」「意を尽くして商売をしろ」「借りたものは必ず返せ」という 経営哲学を教えられたという。
だから、社員に対して、社長が学んだ経営哲学を実践の場で言い続け、貫いている。
また、商売の上で起きるさまざまな 事故やハプニングに対して、
「責任を自分が取るという覚悟」の心構えで対処するように徹底している。


最近、起こっている小学生の殺傷事件など物騒な社会に対して、少しでも小学生を守ろうという観点から、防犯ブザーが提供
されているが、それを入れる防犯ブザー入れ「ピーポーポッケ」(880円、消費税別)のオリジナル付属品を新発売している。


同社では子供の安全と親の出費負担を少しでも軽くするということで、「カルちゃん」(ランドセルブランド)を購入すれば、
「ピーポーポッケ」を始め、ランドセルカバー、交通事故から守る「ひかるパッチン」「交通事故傷害保険付」「『お名前シール』
が作れるCD-ROM」「6年間無料保証」などの“おまけ”がプレゼントされる。


耐震構造設計の偽装問題を始め、「ウソ」がらみの事件が相次ぎ、ウソ社会の憂鬱な現象が続いているが、
商売で成功するキーワードというのは、「信頼と信用、責任感」「誠実」ということであり、時代が変わっても
変わらないものである。時代はいよいよ、本物の人材を求め始めているようだ。


                                                             上妻英夫

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