menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

万物流転する世を生き抜く(41) リーダーの人間力が勝敗を分けた関ヶ原

指導者たる者かくあるべし

 関ヶ原の合戦を知らぬものはないが、大きな誤解がまかり通っている。徳川家康が豊臣秀吉の遺臣たちを破り、天下人となった、という思い込みである。
 
 秀吉びいきの多くの大阪人たちが、「家康だけは許せない」と、いまだに飲んでオダを挙げるのもこの誤った歴史理解による。
 
 一般に「徳川軍」と呼ばれる、家康麾下のいわゆる「東軍」だが、その主力もまた秀吉の遺臣たちであった。
 
 要は、秀吉亡きあとの政治体制のありようをめぐり遺臣たちが二分され、家康率いる「東軍」と、石田三成率いる「西軍」に分かれて、結着をつけたのが、関ヶ原なのだ。
 
 三成と家康、どちらが好きかで分かれたわけではない。どちらがより嫌いかで、相手方についたという構図だ。求心力は弱いから、一つ間違えば、寝返りが起きる。
 
 今にたとえて言えば、「維新の党」の分裂騒ぎのようなものである。橋下大阪市長・松井大阪府知事という癖のあるコンビが嫌いか、松野代表が嫌いかで、党員の行動が決まる。
 
 決め手は、行方を観望する中間派をどう取り込むかにある。それが政治だ。
 
 乱暴にいうなら、現代では政治工作の果ての選挙が勝敗を決める。戦国の世では、政治工作に加え、軍事力つまり戦争が最終的な決め手になったという違いがあるだけである。
 
 積極的に戦列に加わる者も、消極的支持派も、「どちらの大将につけば、自分にとって有利か」を功利的に見極めようとする。
 
 あちらか、こちらか。迷う心を決断させるのは、広い意味での利益誘導の力と、それを含むリーダーの人間力なのだ。それを見定める闘争の過程を、今も昔も政治という。
 
 組織、企業、業界内の勢力争いも政治である。
 
 慶長5年(1600年)9月14日夜半、大垣城に籠っていた三成以下の西軍は、雨降る中を決戦の地へ向かう。明けて15日未明、大垣からおよそ3キロ北西の陣でそれを知った家康率いる東軍も関ヶ原に踏み入れる。
 
 立ちこめる朝霧の中、対峙する兵力については諸説あるが、ともに8万数千で拮抗している。
 
 北国街道への出口の高みを押さえ、傾斜地形の上部に鶴翼(かくよく)の陣を敷き終えた三成は、勝利を確信した。 (この項、次回へ続く)
 
 ※参考文献
 
『関ヶ原の役 日本の戦史』旧陸軍参謀本部編纂 徳間書店
『関ヶ原合戦 家康の戦略と幕藩体制』笠谷和比古著 講談社学術文庫
『大いなる謎 関ヶ原合戦』近藤龍春著 PHP文庫
『関ヶ原・敗者たちの勝算と誤算』武光誠著  PHP文庫
『勝つ武将 負ける武将』土門周平著 新人物文庫
 
 
  ※当連載のご感想・ご意見はこちらへ↓
  著者/宇惠一郎 ueichi@nifty.com 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万物流転する世を生き抜く(40) 三国志の教訓・関羽と張飛の最期前のページ

万物流転する世を生き抜く(42) 石田三成を翻弄する家康の智謀次のページ

関連記事

  1. ナンバー2の心得(10) 正確な情報でトップを支える

  2. 交渉力を備えよ(29) 安易な条件で妥協するな

  3. 逆転の発想(26) 好き嫌いで部下を選ばない(後藤田正晴)

最新の経営コラム

  1. 第四十八話 会社を辞める理由のトップは現場の人間関係

  2. 第155話 今年5.5%成長の政府目標が絶望的

  3. 第226回 一言で伝える

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 戦略・戦術

    第16話 「長期固定金利の誘惑」
  2. 経済・株式・資産

    第91話 米中首脳会談の舞台裏(上)
  3. 戦略・戦術

    第4話  「海外から加工度を上げ輸入し人件費を下げよ」
  4. 健康

    第5回 肘折温泉(山形県)朝市が立つ温泉地で「プチ湯治」のススメ
  5. 経済・株式・資産

    第85話 会社が破たんする原因は資産にある(14)
keyboard_arrow_up