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人間学・古典

第132講 「論語その32」
道を志して 悪衣悪食を恥ずる者は 未だともに議るに足らず

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
お互いに格調高い人生の道を歩むことを誓い合った仲である。粗衣粗食(贅沢生活でないこと)を恥と思うような人物では、道友として語り合う資格に欠ける。



【解説】
 贅沢生活とは、人並以上に金や物を使う生活を云います。現代人は物欲経済社会を生きることから、誰もが贅沢な生活に憧れる傾向があります。しかし贅沢は、自分の財布の中身との関係で成り立つものであるから、金銭不安との表裏の関係にあります。贅沢生活が人生の目的となれば、金銭損得に束縛された人生になりかねません。
 「ボロは着てても、心は錦・・」という素晴らしい歌詞があります。如何にボロ服をまとう生活をしていても、心の品位は高く持ち、堂々とした態度で振舞うということです。
 掲句も同じで、周りと比較して粗衣粗食を恥じるような人物とは、「人生を如何なるレベルで生きるか」の議論はできないという主張です。

 掲句の「恥ずる気持ち」は、人間学では謙虚さに通じることから、妥当な行動基準と好意的に捉えられます。しかしその謙虚さも基準を超えて上下に逸脱しますと、「自己虚勢=自分の過大表示」と「自己卑下=自分の過大卑下」に発展し、好ましいものではありません。

 「自己虚勢」から説明します。
 土産用の菓子が豪華な包装で中身が少量で味悪しとなりますと、一杯喰わされた後味の悪さが残ります。人間も社会的動物ですから、知らず知らずのうちに虚勢を張り、高い評価を得ようとする心理が働き、自分を分不相応に大きく見せたいために、豪華品や傲慢口調などによる「虚勢による過大演出」に走ります。すると周りの人々は張子の虎に気付き、その豪華に飾る浅はかさを軽蔑し、傲慢口調には反発や嫌悪感を抱きます。このようになりますと、折角得た地位も豪華な生活も維持するのは困難になります。
 「贅沢は嫉妬心を生む」(俗諺)とあります。自分の金でする贅沢は、人に迷惑を掛けていませんと主張する人もいます。しかし嫉妬心とは「明確な根拠が無いままに相手側に面白くない感情を持たれるもの」です。嫉妬をする本人も明確な根拠を見いだせないままの感情であり、根拠の明確な恨みよりも対応が難しくなりますから気を付けたいものです。

 次に「自己卑下」を説明します。
 掲句に「悪衣悪食を恥じる」とありますが、自らの行動を恥じることを「自己卑下」と云います。自己卑下とは「必要以上に自らを卑しく振る舞うこと」ですが、自分を一歩低い所において相手の批判や攻撃から身を守るということにも通じます。作戦としては悪くないものですが、努力無しの消極的な戦法ですから、繰り返しているうちに癖になります。
 自己卑下に陥ったら、次の句を100回口述し10回清書しましょう。必ず元気が回復します。
 「我等は、700万年の歴史を誇る人間種族の一匹、46億年の地球星の一微粒子なり。
  しかれども、小我の一匹や一微粒子として、卑下する無かれ。
  我らの一匹や一微粒子の支えがあるから、人間種族や天地自然が永続する」(巌海)

 

杉山巌海

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