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人間学・古典

第27講 「言志四録その27」
大いに書を読み耽る者有れば、これに教えて静坐して自省せしむ。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
盛んに書物を読み耽っている者があれば、この者を指導し慎独自考の時を持たせる。


【解説】
私の主宰する『人間学読書会』では、
読書三等 (1:眼読のみ、2:眼読+書写、3:眼読+書写+慎独自考)の自覚を促しています。
掲句の静坐自省も慎独自考と同じものです。


不立文字とは、語意伝達が不可能な場合に使われる言葉ですが、
その代表的なものが般若心経の『色則是空 空則是色』です。

大般若経600巻を凝縮し262 文字にしたものを、更に凝縮した8文字です。
仏教的な解釈は、「万物(色)は因縁により刻々と生滅変化(空)するから、我が命を含む万物の正体は空なり」ですが、
これは修行を積んだプロ僧侶のレベルです。
修行体験のない素人が不立文字の壁を崩すには、文字や文型を大胆に解釈し、
その上で慎独に慎独を重ねるしか方法がありません。
以下の解釈は、般若心経の初学者でも語意イメージから慎独ができるように、
かなり屁理屈を交えたものですのでご承知おきください。
 

【第1考】
『色則是空 空則是色』の色とは、人間の色気です。
色気は自分の身体から出ますから、
  「色とは? ⇒ 我が心と肉体 ⇒ 人間種族の一匹 ⇒ 自然界の一微粒子 ⇒ 小宇宙」
と自考連想できます。

空は空っぽの大空のイメージですから、
  「空とは? ⇒ 底抜けに大きな天地自然 ⇒ 大宇宙」
となります。

両方の連想を合わせれば、色(小宇宙の我) ⇔ 空(大宇宙)です。
小さな自分の命が、空たる大宇宙に連動するというわけですから、大発見です。
(読書会では、このような考え方を『自然界の一微粒子の我』といっています)


【第2考】
従来の『色則是空 空則是色』の解釈では、単に主語を入れ換えた二重の強調表現と捉えていますが、
私は主語の入れ換えにこそ思想転換の大きな意味があると考えます。

通常我々は自分を中心に周りを見る生活方式ですから、『色』たる
自己が中心となる『色則是空』の思考法(inside→outside)となります。

しか し鳥瞰図(Bird's-eye view)のような『空』からの思考法を採りますと、
月や太陽の高い視点から自分を覗くようになり、『空則是色』の思考法 (outside→inside)に変わります。

「雲晴れて後の光と思うなよ もとより空に 有明の月」となりますが、
『色則是空 空則是色』の言い換え表現に注目し慎独自考をしますと、一変した人生観が出現します。


【第3考】
「色=我1社員」、「空=全社員1000人」と置き換えて、慎独自考を重ねます。

『色則是空』は色が主語ですから、自分の立場で会社全体を眺め、どうしても自我中心の見方から抜け出ません。
これに対して『空則是色』は空が主語ですから、社員1000人の立場から我が1社員を見ることになります。
視点が広がれば、自分の不平不満も小さく見え、全体の中の自分の役割もはっきりと見えるよ うになります。

『色則是空』では、「1000人の中で自分1人が頑張ったぐらいでは・・」
と歯車社員を意識し、自己卑下的な勤務生活となりかねません。
しかし『空則是色』の鳥瞰図的な視野に立てば、「社員の1人1人が会社を支える・・」という誇り高き職場人生が生まれます。


読書後の『静坐自省』とは、自ら慎独自考して『第二の著者』になることです

 
杉山巌海

第26講 「言志四録その26」好みて大言を為す者あり。その人必ず少量なり。前のページ

第28講 「言志四録その28」静を好み動を厭うを懦という。懦は事を了するを能わず。動を好み静を厭うを躁という。躁は物を鎮むるを能わず。次のページ

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