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人間学・古典

第130講 「論語その30」
学びて思わざれば罔し 思いて学ばざれば殆し

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
知識吸収だけで「深く考える思索学習」を怠ると、折角の学問も身に付かない。逆に思索の深さだけで「幅広く学ぶ拡張学習」を怠ると、独善的な狭義思考に陥り学問成就が危ない。



【解説】
 儒教の祖である孔子は、教祖と云うよりも大教育者の雰囲気のある人です。掲句も教育者として「学びの基本となる知識吸収」の留意点を述べたものです。
 簡単に云えば、教えられた範囲や自己学習の範囲に留まるのでなく、学びの後も自らの思索学習や拡張学習により「学びの容積」を大きくせよというものです。
 更に孔子は、「学びて時に之を習う、また説ばしからずや」(論語)とも云っています。一度きりの学習でなく繰り返し学習(復習)により真の理解に至るから、その真の理解の喜びを感じながら楽しい学習を続けなさいと説いています。

 東洋思想では、このような孔子の「知+思+習」の学習法に更に「行」が加えられ、次のような新学習法が主張されました。
 朱子学の祖である南宋時代の朱熹(しゅき:1130~1200)は、知識の吸収が先で行動を後とする「先知後行」を唱えました。これはまず知識としての「知」を理解し、然る後に行動としての「行」に移るという考え方です。
 更に後の陽明学の祖である明代の王陽明(おうようめい:1472~1528)は、知識吸収と行動体験の同時履行を説く「知行合一」を唱えました。「知」の段階では単なる机上論であり、実践体験である「行」を経て、初めてより深い理解に至るという考え方です。

 現代では一昔前と学びの環境が微妙に異なって来ています。情報が少なかった昔は、自ら学んだ知識を自らが活用するという環境でした。最近ではあらゆる媒体を通して「情報が押し売りされている状態」の中に居ますから、「膨大な入手情報を如何に選択して活用するか」が大切になってきました。
 ある高齢者に「お元気の秘訣は?」と尋ねますと、「テレビでお医者様やトレーナーの方が様々な健康法や療養法を教えてくれますから、後は自分に合う方法を選択して上手に取り入れることが秘訣です」と返ってきました。
 このように云われますと「情報収集力」よりも、「選択眼の伴った実践力」が大切な時代とも云えます。今後のAI革命時代の到来を考えますと、人間社会は便利な情報収集と引き換えに、従来からの知識・思索などの努力学習を衰えさせているのではないかと心配します。絶えず携帯端末などで必死に情報収集をする現代人が、情報過多の大波に飲み込まれて学びの主体性を失っている恐れ大ですので、今こそ一日一回の「慎独自考」が大切になります。
 
 主宰する人間学読書会では、次のように説いています。
 「学問成就も人物の器量次第なり。知識の人・見識の人・胆識の人・徳識の人なり」(巌海)
 知識とは大脳皮質に刻まれたもの(記憶知識)、見識とは多くの知識の中からかく在るべしと選択された知識(評論家並の知識)、胆識とは肝っ玉を活用してやり抜く勇気が伴った知識(見識+実行力の知識)、徳識とは中心者の人徳に思いを寄せ周りの人々が自然に応援し成就させる知識(円満成就の知識)となります。果たして皆さんの知識レベルは・・?

 

杉山巌海

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