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人間学・古典

第29講 「言志四録その29」
口頭の聖賢。紙上の道学。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
聖人賢人の生き方を、講義するだけで自分の生活に活かせない人を「口頭の聖賢」といい、
紙上で論述するだけで生活に活かせない人を「紙上の道学」という。


【解説】
この句に接する度に、著者の一斎先生から
「お前は読書会を永い間やっているが、相変わらずの口頭の聖賢、紙上の道学だな!」
と言われているようで冷や汗が出ます。

人間学とは、一限人生の生き方を研究し、自他共に幸せになる学問です。
自他共に幸せとは、自分を含めた人類大衆の幸せを願いますから、衆生済度や経世済民 となります。
実は衆生済度は仏教用語、経世済民は経営学用語ですが、
人間学は広大な学問ですから、当然宗教学や経営学もその一部分に含まれます。


経営学の領域から、企業家をみますと実業家と虚業家に二分されます。
一昔前の安定社会においては、実業家たる経営を誠実に積み重ねていけば、ある程度の成果が得られました。
しかし最近のグローバルIT社会では社会の変化が激しいですから、虚業家が時勢の勢い
に乗って一時の成功を収めますが、しばらくすると派手な失敗をして世間をにぎわせます。

才能有る若手企業家が、「実業とは何たるものか?」「虚業とは如何なるものか?」
の基本を学んでおれば、このような失敗は免れたと思うと残念でなりません。


それでは、「実業家と虚業家とは、如何なる基準か?」と考えてみます。
単純な図式で言えば、「社会貢献の意識≧儲けたい意識」の社長が実業家で、逆式に当てはまる社長が虚業家です。
社会貢献とは、経済の語源たる『経世済民』 です。

私は人間学講演や経営講演を通して多くの経営者と接しますが、かなりのレベルの経営者でも、
業績や株主への気配りをしますが、堂々と経世済民の社会貢献を 口にする方が少なくなってきました。
好調な経営が出来るのも社会からの恩恵ですから、自社の儲け主義に執着するのではなく、
大いに経世済民を啓蒙して恩返 しをしてもらいたいものです。

経世済民の意識の高い社長は勿論立派な実業家ですが、この種のトップは
社員育成や技術育成などの基礎的な経営基盤を強化するタイプが多いようです。
これに 対し儲けのテクニックや営業強化を強調するトップは虚業家タイプが多く、風貌や立振舞いからして
「口頭のエセ社長」の雰囲気を感じ、概して顔相も余りよく なく先行きに不安を感じます。


模範的な実業家となれば、我が国の近代経営の神様:渋沢栄一翁(1840-1931)となります。
我が国の誇るべき最高の実業家で、その企業実績もみごとですが、特筆したい素晴らしさは企業家精神です。
翁は企業家精神の低落傾向を憂慮し、論語を通して磨いた企業家精神を
84~85歳になって『論語講義』(口述書)にまとめていますが、実に名著です。

渋沢栄一翁が現代に甦れば、企業家の皆さんに次のように言うでしょう。
『資本主義社会の指導者は企業家なり。実業家たる経世済民の基本精神を育め!』と・・・

 
杉山巌海

第28講 「言志四録その28」静を好み動を厭うを懦という。懦は事を了するを能わず。動を好み静を厭うを躁という。躁は物を鎮むるを能わず。前のページ

第30講 「言志四録その30」人は少壮の時にあたりては、惜陰を知らず。四十を過ぎて以後始めて惜陰を知る。次のページ

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