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<事例―7 マルホ(B2B)>医薬品の中でも皮膚科の外用剤に絞り込み、トップブランドでありトップシェアを持つ…それがマルホだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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 ●大手製薬会社が大市場しか狙わない理由

 製薬会社が新薬を開発する際には、10~20年に及ぶ研究開発期間が必要な上に、研究開発費用は平均しておよそ500億円が必要だといわれる。その上新薬の開発が成功する確立は、1万分の1だ。
  こうした高いハードルが存在するため、大手製薬会社は「事業採算性のよい大市場」を狙う戦略が通例になる。
 
 ●「大手製薬会社が注力しない市場」に特化して成功したマルホ
 
およそ7兆円といわれる医薬品市場で、皮膚科領域の国内市場はその内の4%にすぎない。また医薬品の薬型は内服薬と注射が中心で、外用薬と呼ばれる軟膏・クリーム・ローションなどの市場規模は3600億円(その中で医療用は2400億円)に過ぎず、大手製薬会社にはメリットがない。
 
 大手製薬会社が力を入れない「皮膚科学関連分野」と「塗り薬」に特化し、皮膚科学関連医薬品外用剤の国内市場で皮膚保湿剤「ヒルドイド」や、尋常性乾癬〔皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に雲母(うんも)のような白い垢(あか)が厚く付着して、その一部がポロポロとはがれ落ちる病気〕の治療薬「オキサロール」といった主力商品で国内トップのシェアを持つ製薬会社がマルホだ。
 
 ●マルホが打ち出したニッチ戦略
 
 2002年にマルホはニッチ市場の皮膚科学関連医薬品のブティック・カンパニーになるという戦略を打ち出し、その実現に邁進する。マルホの4つの戦略キーワードは
 
①オンリーワン   皮膚科学に精通し確固たるブランドを確立する
②スモールガリバー 皮膚科のリーディング・カンパニーとして、売上げ・生産量・学術情報ともにナンバーワンになる。
③創剤から創薬   皮膚科学分野で研究開発を進め、中期的には技術提携も行いながら、自社創薬を進める。
④グローバルニッチ 皮膚科学関連の国内外企業とアライアンスし、クロス・ライセンスも含めて世界に進出する。
 
という明快な内容だ。
 
 同社は研究開発でも独自性を発揮し、当面は他社との共同開発と他社からのライセンス供与を選択。これにより新薬の開発期間が業界平均で15年のところを5年にまで短縮することに成功している。
 
 <マルホの事例に学ぶこと>
 
 マルホは大手製薬企業が注力しない皮膚科学市場に絞り込んで、国内ナンバーワンの売上げシェアを獲得。同時にその市場で「マルホ」という企業ブランドで事業を展開し、医療業界でそのブランド名が知られるようになった。
 
 大企業が興味を示さないニッチ市場こそ、中堅企業にとっては大きな鉱脈となり、そこで強いブランド力が発揮できるという好例だ。
 
 
 
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