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人間学・古典

第34講 「言志四録その34」
鶏鳴いて起き、人定にして宴息す。門内粛然として、書声室に満つ。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
鶏の鳴き声と共に起き、夜十時過ぎに床に就く。
門内は静かで凛とし、読書の声が部屋に満ちている。



【解説】
理想的な日常生活を説いた言葉です。
人定とは午後十時から十一時を指し、宴息とは落ち着いて安らかになることをいいます。
 
西洋思想に代表される近代思想は、一個人の自由を尊重します。
自由なる故に日常生活も思いのままとなります。
遅い時間まで起きていても、他人に迷惑を掛けなければ問題は生じないと考えます。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。

人類は七百万年前に誕生しましたが、電気の利用により夜の明かりを自由にする生活は、七万分の一の百年にもなりません。
我々の先祖は大昔から暁に起き夜は早く寝ていましたから、人類の体内にはこの生活リズムがあります。
これを無視して朝寝夜更かしの自由気ままな生活をしていれば、リズムが狂い心や体の調子が悪くなります。


壮年の頃に数年にわたり波打ちの坐禅修行をしましたが、以下の句はその時のものです。

夜の黒光りの海は恐ろしさを感じますが、星空のもとの坐禅は坐禅堂よりも数倍の気持ちの良さです。
満月よりも微かな明りの半月、荒波よりもなぎの海が理想的です。
静かな時間が過ぎ、脚を組む自分もいつしか固さが取れます。
聞こえるのは、ザァー・ザァーという繰り返す波音だけです。
実にシンプルな世界です。波音に誘われ思考が進みます。
砂浜の坐禅時間は60分ほどですから、自分時間本位に考えれば繰り返す波は600~700回となります。
より思考が進み逆に天地自然の時間から繰り返す波を考えますと、
数十億年前の太古からとなりますから、繰り返す波は天文学的な回数になります。
更に思考が進みフッと気がつけば、我が体内にも似たような血液の波の繰り返しがあり、
その波とは「人類誕生700万年の繰り返しの波」でありました。

  「海懐(ウミフトコロ)に 太古からの繰り返しの営みがあり、
    我が懐にも 太古からの尊い繰り返しの営みがある」(巌海)

「門内粛然」とは、屋敷全体の上品さです。
庭の手入れが行き届き敷地や邸内に余分なものがないのが、ひとつの粛然基準になります。
なぜ余分な物を排除するかといえば、Simple is bestであり、簡素な趣の屋敷は家主の品性レベルに連動するからです。
「書声室に満つ」とは、本会の主唱する読書三等
(一等を写読、二等を朗読、三等を黙読)の二番目を意味し、声を出して読むことです。
 
掲句のこのような日常生活の水準は、我々の人間学読書会の言葉では
  「慎独生活」
  「隠れた部分の日常生活の充実」
  「日々の生活リズムの中での三つのチェック項目の設定」
などとなりますが、参考にしてください。



杉山巌海

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