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人間学・古典

第22講 「言志四録その22」
聖人は、九族を親しむ。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
聖人は、先祖子孫の前後九代に渡り思いを馳せる。


【解説】
世代交代で子供が生まれるまでの期間を25年としますと、九族とは 225年に想いを馳せることになります。
(先祖4代×25年=100年・自分の代=25年・子孫4代×25年=100年)

自分の存在を種族の血の流れから考えてみれば、人類誕生以来から生死を繰り返す大河の流れの一滴です。
古来より「親孝行を心掛ける人は、幸せな一生を送る人が多い」といいますが、
考えてみれば我が身に流れる血液の全ては父母から生じているわけです。
親を粗末にして上流を汚せば災難は下流の自分に影響し、
自分がいい加減な生き方をすればそのツケは可愛いい孫子の身に降りかかります。

私は自分の名前を説明する際に「親孝行の男『孝男』と書きます」と言います。
末っ子で生まれ両親 は高齢でしたので、年老いた親に孝行するというのは自然の成り行きでした。
名前からして親孝行・先祖孝行・人類孝行をしろという父の想いを強く感じます。


親子と同じ関係が上司と部下の関係です。
親不孝な子供もいつかは親になります。
不平不満を唱えて上司を悩ませている部下も、いつかは部下を持つ身分になるわけです。
親不孝な自分でありながら子供から孝行を受けたいのでは虫が良すぎます。

完全な家庭がないように完全な職場もありません。
親子の絆は断ち切れませんが、上司に我慢ができ なければ辞めればよいことです。
祖先の苦労した一族の血が流れるように、職場もまたトップや
上司達が心血を注いで築きあげた組織の血が流れているのです。
辞める勇気がなかったら、親に合わせるように上司にも合わせる。
すると、冒頭の言葉も「上司への敬いを心掛ける人は、幸せな勤務を送る人が多い」となります。


日本国憲法は「個人の権利をお互いに尊重する」という素晴らしいものですが、
お互いという点が欠落しますと、一転して我欲の権利欲求となり修羅場の社会になります。
この意味からお互いの思いやりが極めて大切になります。

第21講で申し上げた「地球横社会の一構成員」と「地球縦社会の一構成員」からすれば、この構成員という意識の中に
「お互い意識」が含まれます。この意識を一族の命の流れに置き換えますと、「先祖への感謝」と「子孫への責務」となります。


中国・北宋時代の名宰相范沖淹(はんちゅうえん)に素晴らしい言葉があります。

  「祖宗よりこの来(かた)、徳を積むこと百余年にして、始めて吾に発す」(范沖淹)

100年(4代×25年)前の祖先から代々徳(社会貢献)を積んでいただいたことが、自分の代になって花開いたという感謝の
言葉です。ということは、現代を生きる自分の徳積みがまだ見ぬ子孫4代にまで影響を与えるという戒めでもあるわけです。


もう一つの家族や一族に関する名言を紹介しておきます。

  「積善の家には必ず余慶有り。積不善の家には必ず余殃(よおう)有り」(易経)

善行を積み重ねた家族や一族には、その代だけでなく必ず子孫の代にまでその恵沢が及び、
悪行を積み重ねた家族や一族には、その代だけでなく必ず子孫の代にまでその災禍(殃)が及ぶということです。

読書会の会員の社長さんが、親会社の担当者の意地悪をぼやいていましたが、この言葉を聴いて
「安心しました。奴もいつかは報いを受けるんですね。」と・・・。

 

杉山巌海

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