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第10回 会社をオンリーワンにするブレない経営とは?~事例:シャングリラホテル

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。

なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。

会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。

経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。

そこで今回から全三回で、“ブレない経営”を実践し、顧客リピートを生み出している会社を事例に、企業風土を売り上げに結びつける仕組みを、経営理念で解説いたします。

~共通言語~

シャングリラホテルのミッションとは、「心のこもったおもてなしと体験」を顧客に提供することです。

同社はこのミッションを存在意義(顧客に必要とされる要素)として、現在47のホテルを世界に展開していますが、“おもてなし”を提供する現場の原動力は、ミッションの言葉“おもてなし”を分かりやすい言葉<共通言語>「旅人を大切な家族のように」に置き換え、現場全員がベクトルを一つにした結果、生み出されています。

・ブレない経営軸「旅人を大切な家族のように」

シャングリラホテルと同業他社との違いは、同社が掲げるホスピタリティ<アジアのおもてなしに感じる独自性>で、それは「旅人を大切な家族のように」という共通言語で表され、現場で共有されているのですが、同社は、「旅人を大切な家族のように」を信念として、「ゲストの皆様にアジアの温かなおもてなしとサービスをご提供すること。」と翻訳し、会社の企業理念とすることで全スタッフに従うべきルールとして、浸透させています。

*  東日本大震災の経営判断

同社は、東日本大震災の時、「今回の震災で弊社ホテルに予約など問い合わせがあった場合は、無料とするように」との指示を全てのシャングリラホテルに通達したそうです。

(同社のトップも共通言語「旅人を大切な家族のように」を軸に経営判断した=企業理念、つまりルールに従った)

・「心のこもったおもてなしと体験」はリピートを生み出す!

シャンリラホテルは、“おもてなし”を共通言語化し、現場の日々のルーチンワークに落とし込むために次に挙げる行動指針をまず決めています。

<信頼を裏切らないハイスタンダード 行動指針>

私たちの指針(基本とする価値観)

  • 私たちは成果に向かって指導力を発揮し、チームとして一丸となり業務を遂行します。
  • 私たちはゲストの皆様への誠意をビジネスの基本とします。
  • 一貫性のあるサービスを遂行します。
  • 私たちは短期的また長期的な観点で、所属する部署と会社全体が経済的に成功するよう専心していきます。
  • 私たちはスタッフの、個人的なまた職業上の目標の達成が可能な職場環境をつくります。
  • 私たちはあらゆる環境において正直で、思いやり深く、誠実であります。
  • 私たちは業務遂行の方法を、技術と処理手順を重視することにより、ゲストの皆様にもスタッフにもわかりやすくすることを約束します。
  • コミュニティー、環境、スタッフ、ゲストやビジネスパートナーにとって、より良い状況を整えるため、企業の社会的責任を追求していきます。

<信頼を裏切らない行動指針>では、顧客との信頼はもとより、社員や現場スタッフの信頼を裏切らないこと(*東日本大震災の対応など)が重要であると同社は理解し、常に経営判断は、企業理念に沿って下されています。

 

シャングリラホテルの企業理念は、ミッション「心のこもったおもてなしと体験」を提供することを会社の存在意義とし、これを実現するために先述の行動指針を決めているのですが、<信頼を裏切らない行動指針>を実践する為に更に以下の3つのスキルを重要視し、顧客リピートを生み出しています。

 

「お客様を大切な家族のように」

1 集中力 を駆使する

宿泊か、食事か、によって利用頂いた用途に集中し、おもてなしを提供する

 

2 観察力 を駆使する

 属性(ファミリー、一人、カップル)と行動パターンを観察し、おもてなしを提供する

3 記憶力 を駆使する

 1.2を通し、おもてなしを提供することでリピートしてもらうポイントを見つける

シャングリラでは、「お客様を大切な家族のように」もてなすために、現場で上述の3つのステップを繰り返し、お客様のニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの)を探り当て、「心のこもったおもてなしと体験」を提供することでミッションを実現し、顧客リピートを可能にしているのです。

※      コンサルティング事例検証

現在コンサルティングしている千葉の調剤薬局(8店舗展開)では、理念経営を軸とした働き甲斐のある会社を構築すべく、ミッションから行動指針、そして会社組織構築を経て、評価制度、人事制度まで社員と共に作り上げようとしています。

同社のミッションは、<思いやりを提供することで幸せな笑顔をサポートします>で、このミッションを以下3つの“思いやり”で具体化しています。

・    正確さ
・    安全
・    安心

調剤という業態では“思いやり”を上記3つで具体化し、社員と共に経営者も一緒に行動指針をシャングリラホテルの例を照らし合わせ作り上げ、日々の作業にまで落とし込むことで、現場士気も向上。

企業理念を常に軸として考えることで、経営者の判断基準と同レベルで「どうすればよいか?」という質問に社員も共に答えを出すようになり、ミッション達成へと会社が一つになっています。

今後は資金力のある大手との競合に生き残り、勝ち残るためには、企業理念を軸としたソフト(サービス)を強化し、これらを売り上げにリンクしなければ地域に密着することで“必要とされる”会社は、利益を生み出しても、資金力の差で顧客を取られ存続が難しくなります。

ソフトというサービスを武器にした企業の成功事例は、シャングリラホテルを筆頭に、その企業の大小に関わらずこれからの中小企業は必ず導入すべきなのです。                                                                  

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